“一帯一路”に暗雲 !?各国警戒傾向なのに 日本は協力体制でいいの?

マレーシア、クアラルンプール

2018年7月4日、マレーシアのイースト・コースト・レール・リンクと中国の中国交通建設は”一帯一路”構想に関連する東海岸鉄道の建設作業を中止を発表しました。

マハティール首相が2018年5月28日にシンガポールを結ぶマレー半島高速鉄道計画の廃止を表明し、マレーシア側が契約条件の再交渉を求めていることによる中止になります。

そのほか、近年、親中国であるパキスタン、ネパール、ミャンマーがすでに中国が計画していた大規模水力発電所3ヶ所の事業中止を発表してます。

“一帯一路”に暗雲が!?

しかし、一方で、先月(2018年6月)安倍首相は「一帯一路」に初めて協力の意向を表明してます。

「国際社会の共通の考え方を十分に取り入れることで、『一帯一路』の構想は、環太平洋の自由で公正な経済圏に、良質な形で融合していく、そして、地域と世界の平和と繁栄に貢献していくことを期待する。日本としては、こうした観点からの協力をしていきたいと考える」

引用:産経ニュースより

この中国の「一帯一路」経済圏構想に対する日本の協力姿勢はいいのでしょうか?
現状を整理してから考えたいと思います。

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「一帯一路」への日本の協力はどうなのか?

一帯一路とは

「一帯」とは、中国から中央アジアさらには西アジアにつながる地域、「一路」は中国から南シナ海、インド洋、アラビア海を経て地中海に至る海上交通ルートのことです。

中国「一帯一路」構想地図

出典:THE PAGE

中国の沿線の国70国に及びインフラ投資や貿易を活発化させることによって自由経済圏を拡大させようということを2013年11月習近平国家主席が提唱し、2014年11月に中国で開催された「アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議」にて広く各国にアピールされました。

また、一帯一路構想と同じような構想をもとに中国主導の地域開発金融機関AIIB。設立当初は大きな物議を引き起こした設立時(2016年1月16日)の57か国・地域から2年後の現在では84か国・地域まで拡大してます。

さらに、2017年には世界の三大格付け機関から最高評価「トリプルA」を得、2年間で「一帯一路」地域に24件、総額42億ドルの融資を実施しており、最近ではAIIBに対する不信感も薄れてきています。

スリランカのハンバントタ港で警戒感UP

スリランカは中国の現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の重要拠点と見なされ、中国マネーを導入して南部ハンバントタに港湾を建設いましたが、6%を超える高利に関わらず、稼働率は低い状況でした。

結果、中国への多額の債務返済に窮した揚げ句、同港の運営権を99年間、中国企業に貸し出すことで合意しました。

こうした経緯から、一帯一路計画のその実は中国が沿線国の戦略的インフラの支配権を握り、軍事拠点化するのではないかとの懸念や警戒心が高まってきています。

ミャンマーの警戒の表れ

2017年4月に雲南省の昆明とミャンマーのインド洋沿いの港町であるチャオピューをつなぐ原油パイプラインが稼働しており,中国にとって、マラッカ海峡を経ずに中東産原油を国内に運ぶ選択肢ができた意義は大きいのです。

ミャンマーチャウビュー

しかし、ここにきて親中国のミャンマーのソー・ウィン計画・財務相は港湾開発事業の規模縮小を求める考えを明らかにしました。(日本経済新聞の単独取材にて)

また、投資の原資を中国からの多額の借金で賄うことに懸念を示していますので、やはり、警戒心が高まってきたのでしょう。

マレーシアは首相交代にて

マレーシア~シンガポール間高速鉄道計画は2010年9月、マレーシアのナジブ・ラザク元首相により発表されたマレーシアのクアラルンプールとシンガポールを結ぶ計画で、2013年2月19日、マレーシアのナジブ元首相とシンガポールのリー・シェンロン首相が会談を行い、2020年までに建設することで合意していました。

が、2018年5月に首相に戻ったマハティールは「中国は大金を持って現れ、それを貸し付けると言うが、どのようにそれを返済するか考えるべきである。プロジェクトに誘惑されて返済の存在を見失う国があるが、気づいたら国の大部分を失うことになる」と、適切な指摘をしています。

マハティール現首相は、中国の「一帯一路」構想に建設費200億ドル(約2.2兆円)の東西海岸を結ぶマレーシア鉄道建設作業を巨額の費用がかかるものの「マレーシアには1セントの儲けにもならない」と「計画中止は最終判断」と述べて見直しも再開もあり得ないとの姿勢を強調しました。

この姿勢で成功を収めてくれれば、中国の札束外交の標的となり得る途上国にとっても良い手本となり得るでしょう。

2018年8月22日更新

マレーシアのマハティール首相は21日、訪問中の北京で記者団に、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に関連する鉄道建設などの大型事業を中止すると述べた。

マハティール氏は将来的な事業再開の可能性は否定しなかったものの、「マレーシアの現在の焦点は債務削減にある」と述べた。中止により補償金が発生すれば支払う意思も示した

引用:読売新聞より

 

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最後に

安倍首相は昨年から中国の「一帯一路」に「中国側の考え方もかなり整理されてきている。個別の案件についてきちんと日本で対応できるものは対応していきたい」と協力する姿勢を示しています。

確かに、一帯一路構想はマーシャルプランと違い途上国の技術力・生産力ではインフラを整えるには厳しいところがあり、日本が頼られる場面も多くなりそうですし、TPP11の各国に加え自由経済圏が広がることは日本にメリットがあります。

また、トランプ大統領のアメリカファースト政策(TPP11離脱、追加関税措置などを発動することで起こる貿易摩擦など)各国のアメリカ離れの流れもあり、中国に対する警戒心をもつ国も増えてきたなか、GDP世界第3位の日本の動向に注目が集まってきてることもあります。

ジャパンマネーや技術だけを狙ってる国もありますので、安倍首相の”個別の案件”、”対応できるものは対応していきたい”という慎重な協力姿勢でいることは今のところ賢明な判断と思ってます

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CY

1970年長崎県五島生まれ 現在、家族は妻、息子の2人 品川区在住、品川区勤務 好きな作家:池井戸潤、伊坂幸太郎、真山仁 好きなドラマ:救命病棟24時、医龍 好きな映画:グローリー 好きな女優:石田ゆり子、イングリッド・バーグマン 好きなスニーカーメーカー:PATRICK