超臨界地熱発電、火山大国であり技術立国の日本が世界に成功例をみない開発に挑む

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2017年7月4日、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)が超臨界地熱発電の実現可能性調査に着手することをリリースしました。

超臨界地熱発電?、超が付くからとにかく凄いんだろうけど、ただの地熱発電とどう違うの?とお思いになりますよね。

リリースから約1年、2018年8月5日に放送されたサイエンスZEROでも超臨界地熱発電のしくみ、構想や課題についてわかりやすい話がありましたので、ご紹介いたします。
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超臨界地熱発電でトップ級に

地熱発電の世界と日本の現状

地熱は水力と同様、ベースロー ド電源(季節や時間帯によらず年間を通じて最低限に維持・供給される発電量)として位置付けられる数少ない再生可能エネルギーです。

しかし、地熱貯留層の位置 を正確に特定することが難しく、地熱発電所を建設するためには地質調査・物理探 査等に長期間を要し経済的リスクが高いため、世界全体でも、全発電電力量の1%未満に留まっている状況なのです。

日本の地熱発電能力(設備量)は約50万キロワットです。2017年1位アメリカ約370万キロワット、2位フィリピン約190万キロワット、3位インドネシアですが、資源量が上位4位のうち、日本だけが10位と資源量を活かせていないのです。

地熱発電、世界状況

出典:JOGMEC

ちなみに、世界一、地熱資源を有効活用している国といえるアイスランドでは、電力構成比の中で地熱の占める割合は、25%と非常に高く、発電のみならず熱利用も盛んに行われており、発電及び熱利用含むエネルギー比率では、地熱の占める割合は 60%となります。

アイスランドは力の入れようがすごいですね。

日本の地熱発電所

出典:エナジーアイ

現在、日本で稼働している地熱発電所は32ヶ所あります。

日本は2030年までに地熱発電能力を150万キロワットすることを目標としており、直近として、来年2019年に23年ぶりに出力1万キロワットを超える大規模地熱発電所、山葵沢(わさびざわ)地熱発電所が稼働を開始します。

山葵沢(わさびざわ)地熱発電所は出力4万2000キロワットです。

日本のエネルギー・発電の供給量割合

出典:サステナビリティ・ESG投資
ニュースサイト

しかし、150万キロワットの目標を達成したとしても、日本のエネルギー・発電の全供給量のうち地熱発電を含む新エネルギーの2016年度の割合は6.9%なので、せめて石炭の使用をなくす(石炭火力発電からの脱却が世界的なトレンド)にはまだ足りません。

地熱発電type

出典:http://geothermal.jogmec.go.jp/report/file/session_160603_06.pdf

そのため、平成28年に策定されたエネルギー・環境イノベーション戦略では、2030年迄の取り組みに加えて、2050年のさらなる排出量削のための革新技術として7つの個別技術+横断技術 を取り上げ、うち、再生可能エネルギーでは太陽光と地熱発電が選定されました。

地熱発電については、次世代地熱発電技術として高温岩体発電(Type4)と超臨界地熱発電(Type5)が取り上げられてます。

ということで、超臨界地熱発電の話に。

超臨界地熱発電とは

海洋プレートの沈む込みにより地下に引き込まれた海水起因の地下深部の超臨界状態の高温・高圧水(超臨界水)の貯留層を利用した、新世代の地熱発電です。

超臨界水

出典:NHK

現在、地下の超臨界水は、世界的にも未だその存在を直接確認した例はありませんが、地震波解析結果の解釈によると、東北地方に 50 以上存在する古火山・古カルデラ下部(4~5km)に単位体積当たり 1%程度の超臨界水を含むマグマ起源火山岩体の存在可能性が示されています。

東北地方の超臨界水

出典:NHK

しくみは地下4000メートル程の慢性領域までボーリングで掘削し、高温・高圧に耐えられるパイプを刺し込み、地上まで吸い上げ、別のパイプに熱を伝えて、沸騰させ水蒸気をを出し、タービンを回して発電となります。

地上で別のパイプを利用するのは、有毒な物質は含まれてたり、地上のパイプが傷みやすくなるリスクの可能性があるためです。

超臨界地熱発電の仕組み

出典:NHK

開発が実現すれば大量の発電が可能な全く新しい地熱資源となり、我が国では、温室効果ガス排出量の大幅削減に加えエネルギー自給率の大幅な向上に貢献することになります。

技術的な課題は多々ありますが大きく言うと下記になります。

1、 地下の超臨界水の位置・規模・状態等を計測して正確に把握、予測する技術が当然、未確立です。

2、開発時に超臨界岩体内で発生する現象は現在の地熱開発におけるものと大きく異なることが示唆されています。
模擬装置を使った室内試験や試掘を通して現象の科学的理解とその予測、モデル化を進めていく必要があり、また、得られた知見に基づき、長期的な環境等に対する影響評価の実施も必要です。

3、マグマ周辺に賦存していると考えられる超臨界水は、海水起源のため塩素等を多く含み、強酸性となっている可能性が高いと考えられてます。
高温・高圧・高腐食といった過酷環境条件に長期間(少なくとも 20~30 年程度)耐え得る、材料開発、機器開発が不可欠です。

4、 地熱貯留層から長期間にわたり効率よく熱を抽出するための亀裂設計・造成・制御技術が必要となります。

ということで、時間がかかることはわかった上ですので、NEDOでは2050年頃に普及を目指すロードマップを引いてます。

NEDO、超臨界地熱発電ロードマップ

出典:NEDO

海外で検討されているものはType1~3がほとんどであり、 Type4、5について検討しているのは日本のみです。

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最後に

先日、全個体Li電池についても記事にしましたが、エネルギー・環境分野の革新技術開発の強化は、地球温暖化問題解決だけを目的とするだけではなく、中長期的視点にたった経済・外交戦略でもあります。

今まで日本は、国土が狭く、エネルギー資源を産出できない国として苦しみながらテクノロジー進歩に力を入れてきました。
ですので、これからは、培ってきた技術を応用して、
臨界地熱発電の開発、海底国産資源の開発などの見通しができるようになれば、子や孫の世代の生活に安心することができるんだけどな~と夢のような願望が浮かんでしまいました。

今宵はここまででよかろうかい。気張れ、日本。チェスト〜!(大河ドラマ「せごどん」の西田敏行さん風)

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CY

1970年長崎県五島生まれ 現在、家族は妻、息子の2人 品川区在住、品川区勤務 好きな作家:池井戸潤、伊坂幸太郎、真山仁 好きなドラマ:救命病棟24時、医龍 好きな映画:グローリー 好きな女優:石田ゆり子、イングリッド・バーグマン 好きなスニーカーメーカー:PATRICK