米中貿易戦争で米中が息切れする前に世界が息切れし、付けはアメリカに帰そう。

トランプ大統領

2018年9月3日のクローズアップ現代で、「“トランプ発”貿易戦争の衝撃~日本・世界経済への影響は?~」というテーマで放送がありました。

米中貿易戦争が開戦して約2ヶ月経ちましたが、並行してトランプ大統領はひとまずは中間選挙のために、EU、NAFTA(メキシコ、カナダ)とも脅しをちらつかせながらの(?)交渉を進めております。

クローズアップ現代は25分という短い時間でしたので、ほとんどの時間が米中貿易戦争と日本企業への影響だけに触れた内容でしたので、その他の国との交渉内容も含め整理してみたいと思います。
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アメリカ関税措置の各国の受ける影響

EU 対アメリカ

2018年7月末、自動車を除く製品の関税ゼロ、非関税障壁ゼロ、補助金ゼロに向けて協力することを米欧間の交渉が進む間は新たな貿易障壁を設けないことで合意となりました。

ただ、EU(ヨーロッパ連合)のユンケル委員長は自動車関税を回避するため、トランプ大統領に大幅な譲歩をして、アメリカ産大豆を大量に購入することになりました。

しかし、実は、中国がアメリカへの報復措置として追加関税をかけたため、アメリカ産大豆は中国市場から締め出されて価格が下落。EUは安くなった大豆を大量に買い付けることができ、大豆の輸入拡大でEUは打撃を受けていないのです。

また、今回の譲歩でEU製品への関税が棚上げされれば、中国がアメリカの関税措置で深刻な痛手を受けることになり、アメリカ市場で恩恵を得ることができ、さらに、中国市場では中国がアメリカ製品に報復関税を課せばシェアを拡大できそうです。

NAFTA 対アメリカ

2018年8月27日、トランプ大統領はNAFTA再交渉に関して、アメリカとメキシコ2国間協議で合意に達したことを発表しました。

NAFTA

出典:NHK

メキシコはアメリカからの自動車の部品調達の比率を、これまでの62.5%から70%に引き上げることに合意しました。(当初トランプ大統領はそれを80%にまで引き上げることを要求)
さらに、両国の労賃の差を縮小させる意図で、生産工程の40~45%を労賃が最低16ドル(1,776円)の工場で生産することが規定されました。

今回の合意によって、メキシコの他の業界を含め労賃が昇給に向かう流れが生まれて来るはずです。

そして、今回の両国の合意が意味するものは、生産コストが上昇することを意味し、それを負担するのは最終的にはアメリカ消費者ということなのです。

今回の合意で、メキシコの鉄鋼業界は、アメリカが現在設定している鉄鋼25%、アルミ10%の関税を全廃することを要求しています。

カナダは7月1日から、アメリカの6月1日から課した関税の影響を受ける鉄鋼・アルミの対米輸出額に基づいて、アメリカ製品に約130億ドル(約1兆4千億円)規模の関税を導入(鉄鋼25%、ヨーグルトやウィスキー、コーヒー等10%)しており、アメリカはアメリカ産の乳製品などの関税障壁の撤廃などのアメリカ側の要求に、カナダが応じない場合には、自動車輸入に関税を課すということで再交渉中です。

カナダのメディアによると、トランプ氏が批判する乳製品の保護策に関して、カナダはチーズ向け生乳など一部製品の市場開放を含む譲歩案を示した。貿易紛争の解決制度では米国が2国間パネルの廃止を求めるのに対し、カナダは機能縮小に反対している。

引用:日本経済新聞 2018年9月12日記事より

中国 対アメリカ

2018年7月6日、航空や産業用ロボット、ハイテク分野の製品を含む818品目(金額にして340億ドル相当)に課税を課しました。

対して、中国は米国産の牛肉、豚肉、大豆、小麦などの農産物、エビ、ウナギ、タラなどの水産物そして自動車など545品目(金額にして340億ドル相当)に報復課税。

2018年8月8日、元々6月に知的財産権侵害の制裁として中国からの輸入品500億ドルに25%の追加関税を課す方針を決めていたアメリカは、半導体、光ファイバーなど残り279品目(金額にして160億ドル相当)に課税を。

中国による知的財産権の侵害への報復

出典:NHK

中国は燃料、鉄鋼製品、自動車、医療機器など333品目(金額にして160億ドル相当)に報復課税。

第3弾は未定だが、アメリカは家具、食料品、革製品など2000億ドル規模の追加課税、中国は液化天然ガス、航空機、レーザー機器など600億ドルで報復する構えです。

現在までのアメリカの関税措置と中国の報復措置

出典:NHK

2017年のアメリカの中国からの輸入額が5,063億ドル、中国のアメリカからの輸入額が1,304億ドルなので、追加課税できる絶対的な額が小さい。
が、今後も中国は引かない動きです。

<アフリカに>

2018年9月2日、中国習近平国家主席はアフリカの11ヵ国の首脳と会談し、翌3日は50ヶ国以上のアフリカ諸国の首脳を前に”共にする運命に手を携え、心を同じくして発展を促す”とスピーチを行い、3年前に600億ドルに加え、今回また新たにアフリカに600億ドルを提供することを公表しました。

<ロシアに>

2018年9月11日、ロシアが極東地域への投資を諸外国に呼びかける国際会議”東方経済フォーラム”の開幕中、プーチン大統領と習近平国家主席が個別会談が行なわれました。

プーチン大統領はその会談で”両国関係は政治から安全保障まで、信頼に基づく”と発言、習氏も”両国関係はより深まっている”などと親密さを強調しております。会談後の合同記者会見で、習近平国家主席はアメリカトランプ政権を念頭に”保護貿易主義には中露共同で対抗していく”との方針を示したということです。

 

中国政府はアメリカの破壊的行動に対して、”我々は欧州とともにアメリカに対抗していくつもり”と宣言して、いつの間にか世界の自由貿易の旗手となっており、アメリカの思惑と逆になる可能性もありそうです。

アメリカ国内は?

アメリカ経済が好調で、株価は最高値に迫る勢いで失業率も17年ぶりの水準3.9%まで低下しています。

トランプ政権による大型減税による個人消費の拡大が好調な要因です。

アメリカ国民からは貿易戦争の打撃を受けた農家などからは反発の声があがってますが、世論調査では共和党支持者のうち80%がトランプ政権の関税政策は長期的にみてアメリカ経済をよくする、または、悪影響はないと、トランプ大統領の政策を後押ししているのです。

共和党支持者の80%がトランプ支持

出典:NHK

今後の日本への影響

アメリカは日本など鉄鋼関税の一部取り下げを行いましたが、今後は自動車などへの関税25%を突き付けられています。

クローズアップ現代で自動車関税が20%に引き上げられた場合の大和総研による試算額が放送されてました。

自動車や部品にかかる関税の増加額はおよそ9,500億円。

長期的に生産台数の減少などが見込まれることなどから関連する鉄鋼2,240億円、運輸520億円、化学製品380億円なども収益が悪化し、その規模は最大で2.4兆円のぼるとみているとのことです。

自動車関税引き上げの影響

出典:NHK

すごっ、防衛費の半分弱の額の規模・・・

それでも、日本は報復はせず、中国みたいに表立つことのないように、各国と誠実に、でもしたたかに自由貿易を推し進めるべきと思います。

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最後に

番組内でアメリカの関税措置について否定的な専門家が”関税は外国の企業が払うのではなく、実際にはアメリカの消費者や企業が負担します”、”関税はオウンゴール、わたしたちを苦しめるのです”とおっしゃってました。

関税はアメリカの消費者や企業が負担

出典:NHK

わたしも賛成です。

関税措置はオウンゴール

出典:NHK

AP通信によれば「トランプが貿易戦争で口火を切って以来、世界の株式時価総額は約2.5兆ドル(約275兆円)減っている。」ということ。

このまま、アメリカと中国、世界のGDPの4割を占める国が貿易戦争を続けていくと、2国より先に世界各国の体力が衰えることが容易に想像できます。

そして、その時に初めてアメリカ国民はなぜ保護主義に偏り、トランプ大統領の政策を支持してしまったんだろうと後悔するのではないかと・・・

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CY

1970年長崎県五島生まれ 現在、家族は妻、息子の2人 品川区在住、品川区勤務 好きな作家:池井戸潤、伊坂幸太郎、真山仁 好きなドラマ:救命病棟24時、医龍 好きな映画:グローリー 好きな女優:石田ゆり子、イングリッド・バーグマン 好きなスニーカーメーカー:PATRICK