万能iPS細胞とは?また、実用化に向けての今、今年(2018年)が再生医療元年かも

2018年7月30日、京都大高橋准教授チームにてiPS細胞(人の人工多能性幹細胞から神経細胞を作り、パーキンソン病患者の脳内へ移植する治験が開始されることの発表がありました。

パーキンソン病(神経を興奮させるドーパミンという物質をつくる脳内の細胞が減少)により動けなくなる、あるいは寝たきりの運動障害のある方をゼロにすることが目標です。

15万人のパ―キンソン病の方が保険適用で治療を受け、完治する望みがさらに近くなってきた喜ばしいニュースになります。

それでは、iPS細胞が実用化に向けて今、どこまでの段階なのか仕事として関わってないとはなかなか整理できないと思いますので、一度わかりやすくまとめたいと思います。
<Sponserd Link>



iPS細胞を利用した再生医療について

iPS細胞のスゴイところとアブナイところ

iPS細胞のスゴイところは、やはりあらゆる臓器、組織になる可能性がある細胞ということです。

iPS細胞

出典:NHK

日本国内でiPS細胞・ES細胞などから再生医療の研究対象となっている主要な疾病

・神経   → 脊髄損傷、パーキンソン病、アルツハイマー病など
・眼    → 加齢黄斑変性、スティーブ・ジョンソン症候群など
・骨・軟骨 → 関節リウマチ、変形性関節症、関節損傷、骨折など
・歯    → 歯周病など
・血管   → 心筋梗塞、慢性閉塞性動脈硬化症、バージャー病など
・血液   → 白血病など
・筋肉   → 心筋梗塞、心筋症、筋ジストロフィーなど
・脂肪   → 乳房再建など
・腎臓   → 糖尿病など
・皮膚   → 熱傷など
・毛髪   → 熱傷、禿頭症など

ほか、安定的に供給ができる、ほぼ無限に増殖が可能、拒絶反応の可能性が低い(自分の細胞を使った場合)というところです。

しかし、アブナイところもあります。がん化・腫瘍化の可能性があるということです。

iPS細胞の最初

2000年ごろから山中教授グループが取り組んだ新しい多能性幹細胞の作製方法の研究は、2006年にiPS細胞として世界で初めて報告されました。

数多くの遺伝子の中から、ES細胞で特徴的に働いている4つの遺伝子(Oct3/4, Sox2, Klf4, c-Myc)を見出し、レトロウイルス・ベクターを使って、これらの遺伝子をマウスの皮膚細胞(線維芽細胞)に導入し、数週間培養。
送り込まれた4つの遺伝子の働きにより、リプログラミングが起き、ES細胞に似た、様々な組織や臓器の細胞に分化することができる多能性幹細胞の作成に成功したという報告内容です。

翌年の2007年11月には、同様に上記の4遺伝子を人間の皮膚細胞に導入してヒトiPS細胞の作製に成功の発表があったのです。

iPS細胞の実用化に向けて

国が後押しする研究拠点との連携先だけでも、製薬企業など8社が患者を治療するための製品(計12種類)の開発を進めています。

iPS細胞を使った再生医療の主な臨床試験

出典:朝日新聞デジタル 2018年5月17日付

その企業の中で、2018年3月1日、大日本住友製薬は世界初のiPS細胞製造工場を完成させたことを発表しました。大学と協力して加齢黄斑変性、パーキンソン病、網膜色素変性、脊髄(せきずい)損傷で開発を進めています。

2018年5月16日、iPS細胞から作製した心筋シートを重症心不全患者の心臓に移植する大阪大学の澤芳樹教授チームの臨床研究が承認されたが、6月の大阪府北部地震で研究施設が被災した影響で、当初の計画より遅れが生じていますが、本年度中に心臓病治療への利用世界初の1例目の移植を実施する計画です。

2018年8月1日から開始されたパーキンソン病の治験の目標は、研究所が保管している他人のiPS細胞から、ドーパミンを産生する神経細胞を約500万個つくり、免疫抑制剤のほか、患者と免疫の型が似ているiPS細胞を使うことで、拒絶反応が起きにくいようにし、患者の脳に移植します。

安全性や治療効果を確認することです。
すでに、霊長類のカニクイザルを使った研究では、実際にドーパミンが増え症状が改善は確認済。2年経過観察し、腫瘍はできず安全性は確認できています。

2018年8月21日更新

iPS細胞(人工多能性幹細胞)から、血液成分の一つで止血作用のある血小板を作り、血小板などが減少する”再生不良性貧血”の患者に輸血する臨床研究の実施を、京都大の江藤浩之教授らのチームが厚生労働省に申請したことが19日、分かった。学内審査で了承を得ており、今後、厚労省で承認されれば臨床研究を始める。

引用:毎日新聞デジタルより

血小板に関しても計画通り臨床申請しましたね(b≧∀)グッド♪

<Sponserd Link>



最後に

2018年8月12日(日)のサイエンスZERO”夢の再生医療 現実へ”で日本と欧米で新しい技術を臨床に応用することについての考え方が違うので、現在製品化されてる再生医療製品が少ないことの話がありました。(下記の画像をご参照ください)

日本は欧米と比較して安全性重視の比重が実用化のスピード重視の比重より大きい考えなので、試験や安全性確認の項目が増えていき、実用化のスピードが遅れており、製品が少ないのです。

今のところ、完全に遅れをとっているのです。

先進国の現在の再生医療製品と開発中製品数

出典:NHK

日本は今後再生医療分野で世界でリードしていくために、近年は新しい医薬品を製品化する仕組みにシフトしています。

今までは大学で研究し、企業で治験、その結果を国で承認して製品化する仕組みでした。(下記画像の上部)

再生医療の開始までの流れ

出典:NHK

再生医療の製品化の仕組みは、研究の段階から大学と企業が協力し、国と相談しながら、条件付きの承認が得られれば、市販できるようになります。

その後、市販しながらデータを集めて安全性や有効性を検証(上記画像の下部の青と紫色の市販の箇所)し、安全性や有効性が確認できれば正式な承認となるようになりました。

再生医療を受けたいという患者数が少ないため、治験が進まないということもあり、新しい仕組みができたのです。

今や市場を獲得していかないと、いい医薬品も日本の中小企業の技術と同様にロスし兼ねません、そのためにはこの国の仕組みはいい方向に向かっていると思います。

形骸化させないようにわたしたちも当事者のひとりとして見守っていかなければならないですね。

<Sponserd Link>


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUTこの記事をかいた人

CY

1970年長崎県五島生まれ 現在、家族は妻、息子の2人 品川区在住、品川区勤務 好きな作家:池井戸潤、伊坂幸太郎、真山仁 好きなドラマ:救命病棟24時、医龍 好きな映画:グローリー 好きな女優:石田ゆり子、イングリッド・バーグマン 好きなスニーカーメーカー:PATRICK