2020年8月26日、NHK Eテレ「植物に学ぶ生存戦略4 話す人・山田孝之」、翌日27日NHK BSで「BS世界のドキュメンタリー”都会の中の“進化論””」が放送され、両放送でシロツメクサの生存戦略の凄さが紹介されていました。

出典:NHK
シロツメクサの原産はヨーロッパ。日本では春から秋にかけ全国の公園や岸などでごく普通に見られ、四つ葉のクローバーを見つけると幸運になるなどかわいいイメージの植物ですが、実はものすごく生きるためにしたたかだったのです。
山田孝之さんが「植物に学ぶ生存戦略4」解説した生存戦略以上が「BS世界のドキュメンタリー”都会の中の“進化論””」でもあったので、知ると驚くかも。(既に知ってるかもしれませんが)
両方の番組をまとめて紹介紹介します。
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目次
シロツメクサは世界中で生息できる、多くの仲間を裏で支配する首相みたいな植物だった!
表向き相利共生だが、裏で配分を支配しているしたたかなシロツメクサ
シロツメクサとジャンベさんの共通点
「シロツメクサは簡単です」「彼のことです」
「どなたですか?」

出典:NHK
山田さん「事情があって仮名ですが、ジャンベさんです」「趣味がジャンベ、だからジャンベさんです」「ジャンベさんはとてつもなく偉い人です」

出典:NHK
「ジャンベさんとシロツメクサには共通点があります」「シロツメクサもジャンベさんも一人では何も出来ません」「周りの色々な人と関係しながら生きています」
「”仲間”、”ウィンウィンのパートナー”、”外部の優秀な人材”の3パターンです」
同じ志を持った仲間と集団を作る

出典:NHK
山田さん「シロツメクサは小さな花が集まって、一つの花を形成しています」

出典:NHK
山田さん「一方、ジャンベさんも周りを同士で固め、一つの強い集団のように見せています」
林田アナ「なぜ、シロツメクサとジャンベさんは集団を作るんでしょうか?」
山田さん「シロツメクサは複数の花が下から順々に咲いていきます」「咲く時期をずらすことで、全体として、若々しく長く咲いているように見せかけているのです」
「一方、ジャンベさんもうっかり失敗した時は周りにいる仲間たちが責任を取っていなくなり、すぐに新し仲間が入ってきます」「常にクリーンな集団であることをアピールし、より長い間偉いポジションを保つための生存戦略です」
お互いを支え合うウィンウィンのパートナーがいる

出典:NHK
山田さん「シロツメクサの根っこにある白い粒々、根粒と言います」「この中に生息する根粒菌こそウィンウィンのパートナー、欠かせない栄養、窒素を分けくれるやつなのです」
「シロツメクサを含め植物は、空気中の窒素をそのまま取り込むことはできません」「そこで、シロツメクサが目をつけたのが根粒菌」「シロツメクサは根に根粒菌を取り込みます」「根粒菌は窒素を窒素化合物に変え、分け与えてくれるのです」「つまり、シロツメクサは根粒菌のおかげで成長できてるんです」
「シロツメクサはそのお返しとして、根粒菌の大好きな糖を光合成で獲得し差し出します」
「こうして両者は共に成長していきます」

出典:NHK
それは上の画像のようなジャンベさんとウィンウィンのパートナーの関係と同じということ。
「シロツメクサと根粒菌、ジャンベさんと偉くない人々」「両者の関係は相利共生と呼ばれ、仲良く暮らしている、そう思われていました」
「実はシロツメクサは裏で支配されていることがわかったんです」
「根粒菌が少ないとお返しの糖は少なくて済みますが、根粒菌が増えすぎると糖をたくさんお返ししなくてはならないので弱ってしまいます」「そこでシロツメクサはお返し全体を減らそうと根粒菌をコントロールし始めます」「人生色々、根粒菌も色々、窒素化合物を上手にたくさん作れるやつもいれば、うまく作れないやつもいます」「シロツメクサにとっては生産性の高い根粒菌ほどいい仲間」「いい仲間にはたくさんの糖をあげるけど、そうでもないやつにはほぼあげない」
「つまり、糖の分配に格差を作り、根粒菌たちを支配しているのです」
外部の優秀な人材

出典:NHK
山田さん「シロツメクサにとっての外部の優秀な人材はミツバチです」
林田アナ「シロツメクサにとってミツバチのどのようなところが優秀なのでしょうか?」
山田さん「シロツメクサの花は不思議な形をしています」「外からオシベやメシベが見えません」「実はそこに重たい扉が立ちはだかってるのです」

出典:NHK
「重たい扉を開くと、虫たちの大好物の花粉や蜜があります」

出典:NHK
「しかし、ミツバチのように力の強い虫でないと、『おりゃ』と重たい扉を開けることはできません」「シロツメクサは遙か遠くまで花粉を運んでくれる力のある優秀な人材だけを分別してるのです」
「一方、ジャンベさんも、自分にとって有益となる外部の人材を寵愛し、甘い蜜を多く吸わせるのです」
「こうしてシロツメクサもジャンベさんも多くの仲間を取り込みながら、一つの巨大な帝国を作り上げていくのです」
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都会のヒートアイランド現象に適応しているシロツメクサ
植物は郊外より気温が高いという生育環境に直面しています。
シロツメクサが都会のヒートアイランド現象に適応できているのはなぜか?世界の168の都市で行われている進化生物学史上かつてない大規模プロジェクトが行われています。
シロツメクサの中には青酸を発生するものがあます。カタツムリや野ネズミなどは、青酸発生系統よりも非青酸発生系統(青酸配糖体を含む場合もある)を好む傾向があるから捕食される可能性が減少するからです。
冬に暖かい地域では天敵の捕食者であるカタツムリが冬眠しないためその防御として青酸が産出され、寒い地域ではクローバーは早春に新芽を出し、カタツムリが冬眠から覚めた頃には新芽が充分に生育して、少々の捕食されても致命傷にならないということが考えれているからです。
ヨーロッパの冬が寒い地域には青酸を持たない個体が圧倒的に多く、逆に冬が暖かい地域では殆どの個体に青酸があり、暖かい都市部では青酸を持つ個体の方が広まっているのはないかと。

出典:NHK
全調査の都市での33.2%が同じ結果が出たのです。
今の課題はこの適応を促す環境要因を見つけ出すことです。
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最後に、遺伝子レベルの変化が
シロツメクサは暖かい都市部の人間が作り出した新たな環境に適応するために、ヒートアイランド現象が起こる都市部であまり必要ない青酸を発生する遺伝子を削ってるということなんですね。
「BS世界のドキュメンタリー”都会の中の“進化論””」では、人間が生き残っていく上で、こういったほかの生物の環境適応について研究しているということを放送していました。
もしかしたら、わたしたちが温暖化に対応するために不必要な遺伝子を削る未来が来るのかもしれませんね。
ところで、一つの気になったのですが、以前サイエンスZEROでやっていた放送内容を「磯焼けウニがクローバーエサ養殖で絶品ウニに再生! 近い将来食べられる‼さらに、沿岸の磯焼けの改善に。」という記事にしましたが、都市部のクローバーを多く食べたウニに青酸が多くならないかと心配になりました。が、きっと大した量ではないのだろうと。
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