米の「株主資本主義」から「ステークホルダー資本主義」への転換は渋沢栄一が唱えた「合本主義」に激似。

ステークホルダー資本主義と合本主義は似通っている

2021年4月19日(月)のNHK Eテレ「100分de名著」は渋沢栄一の“論語と算盤”の3回目の放送。

渋沢栄一

出典:NHK

テーマは”「合本主義」というヴィジョン”でした。

渋沢栄一はよく日本資本主義の父と言われるのですが、実は”資本主義”という言葉を一度も使っていないのです。代わりに”合本主義”という言葉を使ってました。

近年、行き過ぎた資本主義を見直すという動きが起きはじめています。
その見直した考えは100年以上前に渋沢が唱えたこの”合本主義”に非常に似通っているということ。

今回の放送ではその合本主義という考え方から公益とは何かを探っています。

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渋沢栄一が唱えた”合本主義”は今の世界の事業経営に沿った考え方だった!

合本主義とは

“論語”が象徴する公益、”算盤”が象徴する個人の利益。
その両立を目指した渋沢栄一が提唱したのが”合本主義”です。

合本主義

出典:NHK

まず、合本主義「本(もと)を合わせる」の”本”というのは資本のことで、お金・モノ・人・知恵を合わせて事業などを営んで行こうという考え方です。

資本主義と合本主義の比較

出典:NHK

わかりやすく、資本主義と合本主義を比較してみると、資本主義とは資本家が商品を生産して利潤を得る経済構造で、合本主義は公益を追求するために経済活動をするという考え方になります。

お互い経済活動を行うのは同じなのですが、合本主義は公益を追求し、幅広く人・モノ・お金を集めて事業を営んで行こうと考えたものでした。

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経済活動に公益という視点を

渋沢は儒学の教えにより

近代化をすすめていた明治の初め、日本はまだ植民地にされる恐れがありました。

渋沢は「日本が独立国として歩んでいくためには、強い国、豊かな社会を作らなければならない」という思いがありました。
その思いは幼い頃から触れてきた儒学の教えがありました。

論語には孔子と弟子子路とのこんな問答が記されています。

子路が君主の条件について尋ねた。
孔子「自分を磨いて謙虚な人間になることだよ」と。
子路「たったそれだけですか?」
孔子「自分を磨いて人の為に尽くすことだ」
子路「それだけでいいのですか?」
孔子「自分を磨いて、人々の生活を安定させてやることだ」

 

修己安人

出典:NHK

ここから生まれた熟語が修己安人(しゅうこあんじん)。自分を磨き公益を実現する指導者になるという教えです。

明治の日本で修己安人を実現するためには、社会を豊かにするビジネスが必要です。
渋沢は社会の発展に欠かせない電力や鉄道などのインフラ事業を推進します。

反対に渋沢が恐れていたのは、ビジネスが公益を忘れ、私利私欲に走ることでした。

「自分さえ都合が良ければと思っていたら、例えば鉄道の改札を通り抜けるにも狭い場所で我先にと皆がひしめくことになる。これでは誰も通れなくなって困ってしまうのだ。身近な例で考えても、自分さえよければいいという考え方が結局自分の利益にならないことはこの一事を見てもわかると思う」と渋沢。

アメリカの日本版経団連が社会を豊かにする経済活動を提唱

社会を豊かにするために経済活動を行われるべきとありますが、そうすると事業内容とはインフラとかそういったものに限られるのでしょうか?

お客様が必要とするモノやサービスをきちんと提供していれば、それは他人の為、公益的と広くは言え、自分の会社の従業員を幸せにしましたというのも公益的だし、稼いだお金を幅広く社会に還元することも公益的と言えると考えます。

伊集院さん「この幸せとか豊っていう言葉が曲者と言えば曲者と思ってまして」「給料の金額は倍になったのにいつの間にか必要のないモノを買うような癖がついてたりとか、やっぱりそこはおかしいですよね」「割とこのことに、みんな気付き始めていてますよね

合本主義というのはだいぶ前に渋沢が言った言葉ですけど、最近これに似た考えを発表した経営者たちがいたのです。

ビジネスラウンドテーブル

出典:NHK

2019年8月19日、ビジネス・ラウンドテーブル(日本で言う経団連)と言うアメリカの経済団体が企業の目的に関する声明を出したのですが、「今まで我々は株主、特に大株主の為の経営をやってきましたが、それはやめます」「企業に関わっている従業員なり、株主なり、地域社会なり、こういった全てのステークホルダーのために経営します」と。

補足】この出来事の詳細は「米国トップ企業の経営者181人が株主資本主義との決別を宣言」にて。

この声明は渋沢栄一の合本主義の考え方と非常に似通っていて、アメリカの経営者が渋沢栄一と同じようなことを言い出したと考えてもいい。

ビジネス・ラウンドテーブルが本気なら明るい兆しと言えます。
より広くお金を分かち合うと、少しは格差も解消していき、人類が幸せになるはずです。

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渋沢、公益だけでなく個人の利益追求も肯定。手本は武士道。

実業を世の中に広めようと言うのならば利益がないと広めることは到底できないだろう。
だから、商工業に従事すると言う場合、それに見合った利益を手にすることで発展していく方法を考えなければならない。
特に商工業者に地位が低く、力も弱いという今の状況を根本から救いたいと思うなら、どうしても社会全般を富ませる方法を考えるよりほかにはない。
そのための考えとしては「合本法」以外にはないのだ。

公益の体現者

出典:NHK

利益追求と公益の両立、渋沢が手本に求めたのは武士道でした。論語をはじめとする教養に支えられた武士の在り方は公益の体現者そのものだと考えたのです。

武士道は学者や武士と言った立場の人だけのものではない。文明国における商工業者の立つべき道も含まれているものなのだ。
いまや、武士道は言い換えて実業道とするのが良い。
日本人はあくまで大和魂の生まれ変わりである武士道で世に立っていかなければならない。

ただし、こうした武士道精神の強調は文化の異なる国と対立を生む可能性があることも、海外経験が豊富な渋沢は気付いていました。

国が違えば

出典:NHK

「国が違えば何が正しいのか?、何が歩むべき道なのか?」という考え方は自然と違ってくるはずだ。
日本人は君主に忠実で、国を愛する気持ちに富んだ国民として称賛されている。
その一方で、個人の間での約束を尊重しないという批判を受けてもいる。
要するにその国独自の習慣がそうさせているのだ。
つまり、日本と西洋とでは重要だと考えていることが違っている。

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最後に

渋沢は公益と個人の利益追求の両立を目指しましたし、関わった事業の数から渋沢自身の個人的な利益も多かったのではないかと思いますが、

渋沢栄一が関わった事業

出典:NHK

実は、渋沢栄一が給料を得ていたのは第一国立銀行のみで、ほかは無給だったということ。

会社設立時に設立委員長などをやって、株を所有し、例えば5~10年経って黒字になると株を売却し、そのお金で次の会社設立の原資や運営資金に使っていたということだそうです。

さらに、渋沢栄一は死ぬまで公益に対する貢献をやめませんでした。
渋沢は83歳の時に関東大震災で被災しているのですが、「東京は危ないので、故郷の深谷に逃げましょう」と言われるのですが、

渋沢栄一は君子と言っていいような言葉

出典:NHK

「私のような老人は、こういう時にいささかなりと働いてこそ、生きている申し訳が立つようなものだ」と。

被災者の救済や海外から寄付金を募って、震災後の復興事業に関わったり八面六臂の活躍をしていくのです。

補足】このことに関しては渋沢栄一記念財団のHPに守屋先生が関東大震災後における渋沢栄一の復興支援」の記事でくわしく書かれています。よろしければ。

また、「100分de名著」は渋沢栄一の“論語と算盤”の2回目の放送については「渋沢栄一は経営学者ピーター・ドラッカーに高く評価されていた!! その理由は?」にてご覧ください。

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1970年長崎県五島生まれ 現在、家族は妻、息子の2人 品川区在住、品川区勤務 好きな作家:池井戸潤、伊坂幸太郎、真山仁 好きなドラマ:救命病棟24時、医龍 好きな映画:グローリー 好きな女優:石田ゆり子、イングリッド・バーグマン 好きなスニーカーメーカー:PATRICK