2019年4月10日(水)”クローズアップ現代+”で、「ドル箱路線が次々と 都市の路線バス減便の衝撃」について取り上げられていました。
役所、コンビニ、保育士、看護士、医師、運送ドライバーが人手不足問題が大きく表面化されていますが、路線バスの運転手不足も深刻になっており、その雇用維持のため、公共性維持のため、民間のバス会社は窮地に追い込まれています。
今やバス会社の力だけでは運賃を上げるか利便性を諦めるかの二者択一しか残されていないほどで、路線バス問題も深刻なのです。
そこで、まずは減便。しかし、減便する路線は実は乗客が乗り切れない時間がある路線なのです。
マーケティングができていないという単純な話ではなく、バス会社にはその路線を減らさざるを得ない理由があるのです。
バス会社の社長が出演され、どういう仕組みがこのバス問題を引き起こしていて、どのくらい深刻なのか、番組で赤裸々になってましたので、紹介します。
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目次
路線バス運転手不足で都市部バス減便相次ぐ
ドル箱路線の減便現状
NHKが全国124のバス事業者を調査。
結果は政令都市のこの1年間で東京都で85便、福岡市12便、広島市17便、京都市51便、仙台市46便、札幌市56便など合計421路線で減便となっています。
この4月から渋谷駅前のバスで7時台と9時台で1本ずつ減便されたのです。
乗り切れないこともある東京・小平駅の路線バスは、通学時間帯の便数を10本から8本に減らしました。学校では、バス利用者は10分遅刻してもよいという新ルールを作って対応していくしかなくなっています。
路線バス運転手のストレスと給料
番組内で元路線バス運転手の40代の男性は、需要が高まっている外国人観光客向けの高速バスの運転手に転職し、年収が100万円増え、「停留所で止まったり、客を降ろしたりするストレスがなくなり、楽になった」と話しています。
当時1か月でおよそ220時間働いても、給与は手取りで23万円ほどでした。
ストレスが減り、給料が増るのならと転職する運転手は後を絶ちません。
路線バスは他の自動車、自動車うや歩行者に注意して運転するだけでなく、複数のミラーでバス内も常に安全確認しなくてはなりません。
さらに、ドアの開閉や運賃箱など多くの装置をすべて1人で操作しなければなりません。
ものすごい緊張状態が続くのです。
多くの誰もが同じ立場なら転職という選択を選ぶでしょう。
バス会社の苦しい現状
自治体の予算もあるし、バス会社も民間企業なので採算を保たないとやっていけない
都会の路線バスをどう守っていくのか。その難しさがあらわになる事態が、去年、京都市で起きました。
“市バス”と書かれたこの路線バス。実は、京都市は民間のバス会社に運行や車両の管理を委託することでコストを削減し、税金の支出を抑えてきていたのです。
ところが2018年11月、京都市が運行を委託していた民間会社6社のうち、2社が撤退・縮小を表明したのです。
撤退したバス会社の社長鈴木一也さん、委託事業は高速バスなどの事業に比べると、ほとんど利益がなかったと言います。
バス会社は地域の公共交通に関して責務を負うのも事実。自治体からの要請もあるし、そのオーダーに応えていかないといけないという思いも強く持っている。そこと、民間企業で収支を考えないといけないので、そのはざまに立って、はっきり言って『どうしようもなかった』というのが答えになると思う。
公共性維持の負荷
バス会社社長山本宏昭さん、運転手のシフト表を見せながら、減便した訳を説明しはじめました。
シフト表で下記画像の青で囲んだ部分は、運転手が確保できていないダイヤです。
時刻表通りにすべての便を運行させるとすると、運転手が割り当てられない便ができてしまうのです。
山本社長は自ら多い時は1日8時間バスを運転して人手不足を補っています。
車はあるし、乗客はいるのに、人手が足りない。
いくら募集をかけても集まらないですし、入ってきても次から次へ退職するので頭を抱えています。
技術と経験のある運転手が、路線バスを支えてきたのですが、今は…
バス会社社長山本さん、取材だけでなく実際に番組に出演されて、切実に厳しい路線バス問題の現状を訴えました。
観光バスの売り上げは8万円で、人件費・燃料費などの経費は36,000円、粗利は44,000円ですが、路線バスは粗利が775円しかないとのこと。売り上げは22,000円で、経費が21,225円かかるからです。
路線バスが儲からないのは、人が乗っていなくても走らせなければならないからです。運転手も1人では済まない。早朝・深夜の運転になれば、割り増し賃金を支払わねばなりませんからです。
バスの運賃値上げの申請は国交省に非常に細かい半年以上のデータをエビデンスとした根拠請資料の提出が必要とのことで、社長が現場に出ている状況では、そういった余力はバス会社単体にはないというのが現実なのです。
そして、苦渋の決断で減便へと。
その際、どのバス会社も地域の公共交通に関して責務を負う思いから、郊外の路線は住民の生活への影響が大きいとして、減便はできないのです。
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最後に
先日、足立区の竹ノ塚で路線バス2台が右折するために逆走してくる映像がテレビで放送され、問題視されていました。
この番組を見て、路線バス運転手目線になってみると、問題がないことだとは言いませんが、元々の悪条件での労働に加え、次のバス停の時刻に間に合わないや自分たちの休憩時間がなくなるなど、いろんな事情でそうせざるを得ない気持ちになったのかもしれないですよね。
まず当面これ以上減便を抑えるヒントが番組内であったのではと思いました。
広島交通のような路線見直しとMaaS(Mobility as a Service)でのコミュニティバスや自家用車の併用なのかもしれません。
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