200人以上の命を奪う大惨事となった西日本豪雨はつい3か月前のことですが、9月4日に日本に上陸した台風21号、9月6日の北海道胆振東部地震と自然災害が多発しています。
そんな中、週末から週明けにかけて大風24号が上陸の見込みです。
9月16日の海外(フィリピン、中国など)の被害が大きかった台風22号のすさまじさを映像をみると、24号に対しては備えて、外出せず、避難勧告がでたらすぐに避難する心積もりです。
Yikes! pic.twitter.com/YAg5b8FujS
— Matthew Brennan (@mbrennanchina) 2018年9月16日
しかし、既に被災されてる方をはじめとするお年寄りの方などは備えることや何度も避難することが一大事な方もいらっしゃいます。やみくもには・・・という思いの方もいらっしゃるでしょう。
2018年9月15日のNHKスペシャル「人工知能 天使か悪魔か 2018 未来がわかる その時あなたは…」の中でAIの情報を元に避難勧告や避難勧告の解除を決めた自治体の様子が放送されてました。
今のところ地震はデータが少ないためAIがディープラーニングすることはまだ厳しいのかもしれませんが、気象予測に関しては利用開始されてましたので、この放送であった姶良市の現場をご紹介します。
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人工知能の気象予測
ウェザーニュース提供するAIの一実績
西日本豪雨では気象庁が警戒を呼びかけたのは7月5日午後2時でしたが、その14時間前歴史的な豪雨になることを発したところがありました。しかも、もっとも危険な地域が広島、岡山、愛媛ということも的確に予測していました。
インターネットでその情報を発信していたのは世界最大の民間の気象情報会社株式会社ウェザーニューズでした。
気象庁より早く正確な予報をはじき出したのは今年2月に導入した人工知能でした。
従来の気象予測は気圧、温度、風速などの観測データを基に地道で膨大な計算を重ねはじき出していました。
対して、人工知能の予測の材料とするのは雨雲レーダーの画像だけです。気圧や温度などは関係なく、過去3年分の雨雲の画像を学習し、雨雲が時間とともにどう変化するかパターンを導き出しました。
現在の雨雲の画像をパターンにあてはめ、今後雨雲がどのパターンにのっとって変化していくか予測していくのです。
必ずしも因果関係、原因と結果というのははっきりしていなくても何か答えが出てきます。これが一番確率が高いということを考えてくれるのが人工知能の凄いところです。
また、雨が降るかどうか、250メートル四方もピンポイントで予測可能で、現在90%の精度を誇ります。
人工知能の予測で7月の豪雨を切り抜けた自治体 姶良市
7月2日のお昼に、台風7号が明日にかけ九州接近、今夜から非常に激しい雨が降るおそれあり、気象庁は大雨に警戒警戒するよう呼びかけているという報道がありました。
その時、沖縄の久米島沖を台風7号が北上中で、翌日の朝鹿児島地方に最も接近するという予報がでていました。
鹿児島県姶良市は過去度々台風の被害を受け、土砂崩れなどで、多くの犠牲者を出してきた場所です。
7月2日午後2時、姶良市役所危機管理課で18時間後の台風の接近に備えを始めていました。
まず、気象台からは薩摩・大隅地方の台風の最接近は3日朝6時から9時の時間帯を予想、薩摩地方は夕方6時以降強い雨が降り始め、翌朝ピークを迎える予報でした。

出典:NHK
しかし、危機管理課が知りたいのは住民避難が必要なほどの事態が起きるのかということです。また、起きるとするなら、何時なのかです。
気象庁は鹿児島本土を大きく二分した予報ですが、人工知能は市町村ごとの予報をします。

出典:NHK
しかも、10分ごとに予測は更新されますので、災害対策の判断材料として信頼度が高いのです。

出典:NHK
その後、対策会議が行われ、市長からも”大雨が始まる前をどう判断するか”、”始まってから、もし災害が起きてからどう対応できるかの2つを決めておかないといけない”という指針がありました。

出典:NHK
午後4時、6時間後の夜10時から雨が強くなり、翌朝の4時以降更に激しくなると時間帯まではっきり予測されていましたので、避難所を開設し、避難準備・高齢者等避難開始を発令を決めました。
午後6時、ここで危機管理課課長は避難準備・高齢者等避難開始を発令しました。
翌7月3日午前4時30分、人工知能の予測通り深夜からの雨が激しさをましており、土砂崩れの報告が相次いで入ってきていました。

出典:NHK
特に懸念なのは蒲生町です。そこは火山灰の土壌で地盤が極めて緩く、2年前にも犠牲者が出てます。

出典:NHK
人工知能の予測では、このあとも9時間、激しい雨が降り続くことになっており、もしそうなった場合、大規模な土砂崩れが起こる危険がありました。
そこで危機管理課は蒲生町全域に避難勧告を決め、午前6時に蒲生町(3,172世帯、6,485人)に避難勧告が発令されました。
人工知能の予測にそって、先手先手の決断を打ち出していきます。
暴風雨に襲われてから8時間。人的な被害は出ておりません。
7月3日午後5時、台風通過しました。人工知能の予測通り雨がやみ始めました。しかし、薩摩地方全域への気象庁の警報はまだ続いてました。
今は安全な状態でいるが、避難を長引かせると住民の生活に支障がでるので、避難勧告をいつ解除するのはなかなか難しいのです。

出典:NHK
人工知能の予測では午後6時以降はもう強い雨は降らないということで、姶良市は午後5時30分に避難勧告を解除しました。
姶良市の実際の雨量と人工知能の予測を比較してみると、最も激しく降った時の雨の量は過小評価していましたが、雨の強まるタイミング、収まるタイミングは的中させてました。

出典:NHK
危機管理課で住民避難が必要な時間を知りたいというポイントはおさえることがきちんとできてるということですね。
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最後に
姶良市は番組にもありましたが、2年前に土砂崩れの被害があったこともあり住民の対応も早かったのではないかと思いますが、危機管理課の方がしっかりと避難準備や避難勧告を判断して、人的な被害がなかったことは素晴らしいことです。
ただ、人工知能を用いてないと判断が鈍ってるのではないかと感じました。
今後、温暖化の影響で熱帯低気圧でおさまらず、台風となるものが増えてくるので、各自治体も気象庁情報とAI情報のハイブリッドで、犠牲者を少なくしないといけない時代になってると感じました。
このケースではAIは天使だと思いますよ。
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