3.11から10年、気象庁緊急地震速報と国土地理院地殻変動データから10分で津波の浸水予測。

津波浸水地域予測システム

2021年3月14日(日)NHK Eテレ「サイエンスZERO」は”3.11から10年、命を救うための挑戦”“津波防災””最前線”。

番組前半の放送、津波をいち早くとらえるための技術は整備が進んでいる(記事アップ済「東日本大震災から10年での研究成果、”津波防災”の最前線。津波の高精度情報を早くとらえる技術!」)一方で、私たちが避難するための課題も最新研究で明らかになってきています。

東日本大震災の時、車で避難する人が多くいたことで、渋滞ができ、避難が遅れたという非常に困ったことも。

都市部で大地震が発生した場合の避難を考えると、車、人とすごい数での混雑が容易に想定されます。

浸水域の予測を10分以内で完了

出典:NHK

この課題に対する技術開発は現状どこまですすんでいるのでしょうか?

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大地震の津波による浸水地域をより高い精度で早くとらえる技術開発の進捗

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シミュレーションから見えてきた避難方法の課題

東京大学古村孝志教授

出典:NHK

東京大学地震研究所 災害科学系研究部門 古村孝志教授は川崎市、東北大学、富士通と共同で都市部での津波避難の研究を行っています。

牧野嶋文泰

出典:NHK

その核となるシミュレーションを開発したのが富士通研究所牧野嶋文泰さん。東北大学在学時から津波避難について研究してきました。

牧野嶋さんが最初にシミュレーションを行ったのは宮城県気仙沼市でした。
震災後に大規模な聞き取り調査などが行われ、実際の避難行動がよくわかっていたからです。

宮城県気仙沼市の避難シミュレーション

出典:NHK

対象は2万5千人ほどの避難者。

宮城県気仙沼市の車での避難シミュレーション1

出典:NHK

徒歩による避難では高齢者の避難に時間がかかる様子や半数が車で避難したために渋滞が起きた場所も現実に近い形で再現できました。

車の利用率を減らしたシミュレーションをするとある程度減らすことができれば、渋滞を起こさずにスムーズな避難ができることが確認できています。
こうした情報を元に地域の避難計画を考えて頂けるような情報が提供できるのではないかと。

牧野嶋さんが今取り組んでいるのは川崎市沿岸部の避難シミュレーションです。

マグニチュード8.5相当の地震では川崎市は津波の高さ3.5m想定

出典:NHK

神奈川県が設定しているマグニチュード8.5相当のある地震モデルでは、川崎市も最大で3.5mの高さの津波が到達すると想定されています。

33万人以上

出典:NHK

川崎市の昼間の人口は気仙沼市よりはるかに多い33万人以上。

全員徒歩で最寄りの避難所まで移動すると仮定してシミュレーションを行いました。

地震発生後10分で避難する人で道が混雑

出典:NHK

地震発生から10分ほど経つと、避難する人で道が混雑しうまく動けなくなることがわかります。
こうした混雑は市内のあちらこちらで起こることがわかります。

1つの避難所に2万5千人が集中

出典:NHK

条件によっては1つの避難所に2万5千人が集中することがあります。

人工がすごく数注しているところでの津波の被災の経験は少ないので、こうしたシミュレーションによって潜在的な課題が見えるようになりました。

今度は予測浸水域内にいる約8万2千人だけが避難したらどうなるかシミュレーションを行いました。

全員が避難した場合

出典:NHK

全員が避難した場合に混雑していた場所が、

浸水域内の人だけが避難した場合

出典:NHK

浸水域内の人だけが避難すれば混雑が解消されることがわかりました。

どこまで浸水するのかの予測が重要

出典:NHK

つまり、都市部ではスムーズに避難するためにはどこまで浸水するのかといいう情報が重要になる可能性が見えてきたのです。

都市部は人口密集等のリスクがある一方で高い建物も多く存在していたりして、避難に有利な条件も会ったりしますので、そうした特徴をどう活かしたら良くなるかということを今後検討していかなければいけない。

とにかく早い避難、早い避難と考えていたのですが、みんなで助かるためには必要な地域の人だけ避難した方が、より多くの命が助かる可能性が高くなるということです。

古村孝志教授の話

出典:NHK

例えば南海トラフの地震が起きた時には5分で津波が直撃するところもあれば、大阪・名古屋・東京のように湾の中だと津波が来るまでに何十分もの猶予時間があるところもあります。
ですので、地域によって避難の方法は変わってくるんです。

都市部の話ですが、津波の高さもほどほどで遠くまで逃げなくても、自分が住んでいる家が鉄筋コンクリートとか鉄骨造で安全であれば3階建て以上のところに行く。垂直避難をすれば大丈夫とわかった場合の話です。

しかし、避難する地域を限定すると、どのくらいまで津波が来るのか、どのくらいの高さの津波が来るのかという予測が100%でなくてはいけなくなります。見落としがあったりすると大変なことになります。

ただ、時間が経てば本当の津波の浸水がはじまりますし、途中で津波が沖合まで来ますから、それを観測し、予測をどんどん修正していきながら現実に近づけていく技術を使うことで、近い将来避難の指示に使えるようになるはずです。

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巨大地震が起きた時に10分以内で津波浸水域を予測の開発状況

10分以内で津波浸水域予測できるシステムの開発したのは東北大学発のベンチャー企業RTi-cast

津波のメカニズムは複雑なので、どんな地震が起きたかわからないと浸水域の正確な予測が立てられません。
地震発生直後に正確に予測するために、この企業には地震・津波研究者以外にスーパーコンピュータ開発者も参加してもらう必要がありました。

東北大学災害科学国際研究所越村俊一教授

出典:NHK

その中心となっているのがシミュレーションによる津波研究が専門の東北大学災害科学国際研究所教授で越村俊一教授です。

越村教授、3.11に対して過去の地震から想定していたより浸水域が広く家屋の被害も大きかったことに衝撃を受けました。
過去の地震に基づいた予測だけでは不十分だということがわかりました。やはり、起きた地震の、その観測情報を使って、今本当に何が起きるのかをリアルタイムで予測しなければいけないと思いました。

津波浸水地域予測システム

出典:NHK

そして開発したのがリアルタイムで津波の浸水や被害を予測するシステム。地震発生から10分で津波の浸水がどこまでくるかを予測することができます。

まず、地震発生後に気象庁の緊急地震速報を自動で取得。ここにはS-netの観測データも活用されています。

キャ気象庁と国土地理院のデータを取得

出典:NHK

さらに国土地理院が公開している地殻変動の観測データも取得します。これが正確な予測の鍵となります。

電子基準点

出典:NHK

国土地理院は日本中に設置した1,200もの電子基準点を衛星を使って観測することで、正確な位置情報を1秒ごとに記録しています。

 

以下の内容と南海トラフで津波が発生した場合高知市の浸水予測が10分でどのくらいわかるかについて上の動画でみることができます。

3.11地震の地殻変動で、矢印がその方向にどのくらい動いたのかを表しています。
この地殻変動のデータからリアルタイムで地震の断層面を計算。
四角で表したのが地震で動いたと推定される断層面。

動き方から計算し、次々と更新されて行きます。
そして、およそ3分で断層面の推定が完了しました。

このデータによって津波の規模の予測精度が上がります。

これらの情報が送られるのが東北大学と大阪大学のスーパーコンピュータ。
巨大地震が発生したら最優先で計算開始するシステムを構築し、地震発生から10分以内に浸水予測が完了するのです。

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最後に

大地震の場合、津波の浸水域の予測の前に、火災やビルや家屋の倒壊、水道管の破裂などもあり、都市部の避難は非常に複雑を極めると考えられますが、この放送を見て、一歩一歩課題解決をしていき、より被害者数を少なくしていこうとする研究者の前向きさに頭が上がらない思いになりました。

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1970年長崎県五島生まれ 現在、家族は妻、息子の2人 品川区在住、品川区勤務 好きな作家:池井戸潤、伊坂幸太郎、真山仁 好きなドラマ:救命病棟24時、医龍 好きな映画:グローリー 好きな女優:石田ゆり子、イングリッド・バーグマン 好きなスニーカーメーカー:PATRICK