資本主義下の労働者が過酷な労働環境から逃げたり・抵抗したりできない理由がマルクス「資本論」にある。

価値が増える運動にはゴールがない

どうして私たちはこんなに働いているでしょうのか?

脳・心臓疾患と精神疾患の労災申請件数と認定件数

出典:NHK

過労死や自殺の問題から2019年4月施行の働き方改革で残業時間の上限を原則が盛り込まれましたが、売上などのノルマは何も変わらず、サービス残業でコンプライアンスということでどうにかしようとしても上から止められる状況。そして、逆に精神的に追い込まれて行く人がますます増えているように見受けられます。

2021年1月11日(月)のNHK Eテレ「100分で名著」では、これだけ技術も発達して豊かになっているのに”なぜ過労死のような問題がなくならないのか”ということをマルクスの「資本論」から考えていました。

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資本は価値増殖の運動であり、その運動にはゴールはないから悲劇は起こり続ける

資本という価値増殖の運動にはゴールがない理由

まず、労働問題を考えるに当たって、資本主義の下でどういう風に利益が生み出されていくのかということを考えていかなければなりません。

「資本論」の”資本”は一般的に考える資本とは違う

その際に、絶対に抑えておかなければいけない概念が”資本”。

一般に資本と言うと、お金や企業所有のビルなどのイメージを持つ方が多いと思いますが、マルクスは「資本とは価値増殖の運動である」と言っています。

資本の一般定式

出典:NHK

G(ゲー)はドイツ語でお金を表すGeld、W(ヴェー)は商品を表すWareの頭文字です。

例えば、パン工場の場合。元手となるお金(G)が最初にあります。そのお金でパン(W)を製造し、売ることで、それよりも多いお金(元手+α)(G)が手に入ります。

資本主義の社会

出典:NHK

G-W-Gを繰り返すことでどんどんお金が増えていく。このお金儲けの運動がマルクスの言う資本です。

資本主義より前の社会

出典:NHK

例えば、靴職人が靴(W)を売ってお金(G)を稼いだとします。そのお金でパン(W)を買う。パンは食べてしまえばそこでおしまいです。

お金からはじまるG-W-Gのように、さらに価値が増えていくことはありません。

資本主義社会はモノを作る事よりも売ることを重視します。

人は価値増殖していくシステムの歯車となって行くのです。

価値が増える運動にはゴールがない。

資本の力が人間の意識を離れて、働かせ続けるというのが資本主義の恐ろしさなんです。

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長時間労働の悲劇が起きるメカニズム

資本家が労働者を働かせる理由

長時間労働の悲劇が起こるメカニズムを番組はあるパン工場の例で説明しています。下の動画で見ることができます。

 

1日10,000円で雇われている労働者が8時間労働で産む価値が16,000円だとすると、差額の6,000円が資本家の利益なのです。

労働者の賃金を超えて生まれるこの差額をマルクスは”剰余価値”と呼びました。

資本家が利益を増やすために一番簡単な方法は同じ給料で労働者を長時間働かせて剰余価値を増やすことです。
1日に8時間でなく10時間働かせればさらに4,000円のプラス、12時間なら8,000円のプラスになります。

マルクスは資本家を吸血鬼と批判

出典:NHK

いかに長く働かせて価値を搾取できるか、利益の追求にとらわれていく資本家をマルクスは”吸血鬼”と呼び、批判しました。

1日の24時間全部の労働をわがものにするということが資本主義的生産の内在的衝動で、資本家は吸血鬼のように搾取をやめないからなのです。

大洪水よ、我が亡き後に来たれ!

出典:NHK

マルクスは資本家のマインドセットを「大洪水よ、我が亡き後に来たれ!」とも言ってます。個々の資本家は自分が金儲けした後なら環境がどうなっても構わないし、労働者がバタバタ死んでも構わないと考えていると揶揄したのです。

労働者が過酷な労働環境から逃げたり・抵抗したりできない理由

マルクスは過重労働から逃げれない理由を2つの自由があるからと言いました。

強制労働からの自由

出典:NHK

1つ目はかつての奴隷のような強制労働から解放されているという意味の自由

労働者は自分の労働力を誰に売るかあくまで自発的に選ぶことが出来ます。

生産手段からの自由

出典:NHK

2つ目は生産手段からの自由。

ここでの自由は無いという意味で、生きていくために必要なものを生産する手立てを持っていないということです。

生きていくためには労働力を売り賃金を得なくてはならないのです。

労働者を過酷な労働に縛り付けるのは2つの自由だった

出典:NHK

仕事を失ったら生きていけないという恐怖自分で自発的に選んだという自負職責を全うしなければいけないという責任感

労働者を過酷な労働に縛り付けるのはこの2つの自由だったのです。

自由な労働者は、自らの必要に駆られて労働する。

自由な自己決定、すなわち自由の意識や、それと結びついている責任の感情は、

自由な労働者を奴隷にするよりも遥かに優れた労働者にする。

引用:マルクス「資本論」より

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最後に

資本家と労働者の間で悪循環が巨大化しすぎていて、現在は国レベルだけの問題ではないと感じてしまいます。

伊集院さん「しゃべればしゃべるほど、僕はどっぷりこの価値観の中で生きてきて、しかも今現在ここまで不自由をしていないという立場の人間だから、『改善されるべきところが俺のところじゃないから』というのじゃなく、そこじゃなくて『本当に今苦しいという人のところだから、そこがうまいアイデアがでたり、うまいシステムができたらいいな」と。

無限の価値増殖運動である資本主義がやがて労働者を過労死にまで追いやってしまう矛盾を明らかにし、この暴走にブレーキをかけるためには何が必要かとなると、やはりベーシックインカムなんでしょうね。

健康的で文化的な最低限の生活基準を国が設定しなくてはならないと思いますし、国の経済力が必要なので、そうすると解決すべきことが山積みですね。

この記事から読まれた方で1、3、4回目の放送内容も知りたいという方は

第1回目の放送の記事「150年以上前のマルクス「資本論」は今こそ読むべき名著!資本主義社会で私たちがなぜ悩んでるかがわかる‼」、

第3回目の放送の記事「資本主義下のイノベーションは労働者の負担減じゃなくブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)生む!」、

第4回目の放送の記事「マルクスの「資本論」の草案、現在刊行中「MEGA」でコモン(共有財産)共同管理社会とエコを描写!をご一読下さい。

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1970年長崎県五島生まれ 現在、家族は妻、息子の2人 品川区在住、品川区勤務 好きな作家:池井戸潤、伊坂幸太郎、真山仁 好きなドラマ:救命病棟24時、医龍 好きな映画:グローリー 好きな女優:石田ゆり子、イングリッド・バーグマン 好きなスニーカーメーカー:PATRICK