2018年9月24日にNHKで「東洋医学 ホントのチカラ~科学で迫る 鍼灸・漢方薬・ヨガ~」が放送されており、アフリカで結核の治療補助としてお灸が広がってるということに驚き、以前紹介させて頂きました。
実は米軍でも耳鍼を開発して治療に役立ててるということです。東洋医学がこんなところにも。
ということで、番組で鍼灸治療のメカニズムついて科学的に迫っている内容を記事にします。
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目次
鍼治療の力について
ツボへの鍼灸でストレス軽減
テレ朝の番組で腰痛持ち芸人として出演したこともある土田晃之さんが北里大学東洋医学総合研究所の伊藤剛客員教授を伺い、鍼灸治療を受けることに。
早速、腰に鍼と思いきや頭のてっぺん、百会というツボでした。
なぜ、百会からなのでしょう?
百会から鍼灸された理由はネズミの実験を用いてわかりやすく説明します。
実験で、孤立状態で飼われたネズミは、ストレス状態で攻撃的になってますので、試しに別のネズミを入れると襲い掛かりました。
そこで、この攻撃的なネズミの百会に小さな鍼を貼り、また試しに別のネズミを入れると、反対にやられてしまいました。

出典:NHK
このときネズミに何が起こってるかを調べるために、血液を採取してストレスを感じるてる時に分泌されるホルモン、オレキシンの濃度を測ったところ、百会に鍼を指した場合の方が数値が下がっていたのです。
つまり、リラックスした状態になっていたということです。
オレキシンをコントロールすることによって、抗ストレス作用をもたらしたと考えられます。
ストレスは腰痛の原因の一つと考えられてます。
ツボへの鍼灸でこわばった筋肉を緩める
WHO(世界保健機関)が認定するツボは361種類(ツボは数千あるが標準的に治療に使われてる数)あります。
ツボとは解剖的学に言うと神経や血管が集まる場所です。
スポーツ生理学の専門家にお願いしてある実験では、トレーニングで筋肉がぱんぱんになったスポーツ選手のふくらはぎにある飛揚というツボに鍼を刺し、エコーで確認したところ、全体的に柔らかい部分が増加していることがわかりました。
鍼の刺激が神経に伝わるとその傷を治そうと血管を拡張する物質が分泌し、血流がよくなります。こういったメカニズムでこわばった筋肉が柔らかくなっていくのです。
また、ツボへの刺激は神経を通じて脳に作用する場合もあります。
例えば先の百会への刺激はストレスホルモンオレキシンを出している脳の視床下部に作用、その活動を沈め、オレキシンの分泌を抑えるのです。

出典:NHK
伊藤先生はうつ伏せになった土田さんの背中にマーカーで印をつけて背骨の歪みを確認、こわばった周りの筋肉に背骨が引っ張られ、ガタガタに歪んでいる様子がハッキリとわかりました。
これが腰痛に影響していると考えられることから、こわばった筋肉を鍼の刺激で緩めていくことに。鍼の太さは0.2mmほど。
普通痛みはほとんどないが、土田さん、あるツボではズンとくるような痛みがきたところがあました。これは鍼がツボを刺激している証拠なのだそうです。
さらにお灸で熱による刺激も加える。治療を終え、背骨の歪みはかなり改善されており、楽になったと自覚がありました。
離れたツボの秘密 経絡
東洋医学の経絡(けいらく)という考え方は西洋医学でも注目され始めています。
肩こりに悩む女性たち4人に集まってもらい実証実験治療を明治国際医療大学鍼灸学部の伊藤和憲教授に行ってもらいました。
伊藤先生はまず、女性の肩のツボをチェックした後、次に二の腕のツボを押し始めました。
二の腕のツボを押して痛みを訴えたのは3人、そのうち二の腕に鍼治療を施したひとりの女性は今まで向けなかった後ろも向けるようになったと笑顔を見せるくらいの効能がありました。
東洋医学では痛みがツボのつながりを通じて別の場所に現れる経絡という考え方があり、主に14種類の経絡が治療に使われています。
実は西洋医学では離れた痛みの原因となる場所をトリガーポイントと呼んでますが、それがツボの場所と90%一致しているとのことです。
経絡の謎が完全に解明された訳ではないが、科学が進むことによって鍼灸治療の効果や効能の理解が進んでいく傾向です。
国内大学病院での西洋と東洋医学の融合について
最先端医療をリードする東京大学医学部付属病院で手術後の痛みを取るなどといったリハビリテーションの現場で鍼灸治療が行れてます。
脊柱管狭窄症の患者(日本での患者数500万人ほど)の多くが手術後も血流が滞ることで足にしびれや痛みが残ることが。
ある女性患者の場合、スネのツボに鍼を指すとその刺激は、悪くなっていた脊髄に達し、血流が改善、足のしびれや痛みが改善されたことの一例が番組で紹介されてました。
東京大学医学部付属病院リハビリテーション部鍼灸部門主任・

出典:NHK
東大病院は顔面神経マヒ、消化器疾患、女性更年期障害、変形型膝関節症、関節リウマチ、腰痛、五十肩、がん性疼痛、頚椎症などの症例患者のリハビリテーションの現場で鍼灸治療の実績があります。
番組内で現在は20を超える大学病院で鍼灸治療が臨床や研究で取り入れられているということです。
治療費は保険診療の対象でない疾患の場合は自費診療の対象。保険が使えるのは神経痛、リウマチ、腰痛症などの疾患に限定されるほか、医師の同意も必要。
米軍が開発、戦場鍼治療
アメリカ空軍で開発された耳への鍼治療も紹介されていました。
アメリカのアンドリュース空軍基地、10年も慢性の腰痛で苦しんでおり、最近は痛みが頭から離れないレベル(10の内の7~8レベル)で日常生活に支障をきたす悩みを抱えた兵士が基地内の医師に診て、治療を受けてるところが放送。

出典:NHK
早速、医師が長さ5ミリ程の小さな鍼を左右の耳に2つずつツボに刺すと、すぐに痛みがから1まで下がったのです。
米軍が開発したこの耳鍼療法は「戦場鍼治療」と呼ばれ、簡単にすばやく痛みを和らげることができると世界各地の米軍基地で導入が進んでいます。

出典:NHK
耳への鍼治療は、耳鍼を行うと前頭前野の脳血流が増加し、痛みを感じる扁桃体の興奮を抑えられると考えられており、そのことは痛みの緩和に即効性があるということなのです。
同様に耳鍼治療は災害時の被災者支援にも使われ始めています。

2010年の死者30万人以上の大惨事となったハイチ大地震では、医薬品が不足し満足な治療が受けられない患者に対して国際ボランティア団体が耳鍼治法を実施し、大勢の人々を痛みから救ったのです。
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最後に
番組中に安野先生が耳のツボについて解説してくださいました。
耳ツボは綿棒などで押すのでもいいとのことですので、簡単にできそうで、いいですよね。
また、最近ではジュエリーのような刺さない鍼が流行中です。
さらに、耳ツボへの刺激は脳の満腹中枢を刺激し食欲を抑制するほか、レプチンという食欲抑制ホルモンを分泌させるためダイエットにも効果があるとのことです。
鍼灸の効果は米軍から被災地、ダイエットまで幅広く認められてきてますので、科学的なエビデンスが揃えば、さらに大きく普及すると思います。
この番組をみて、わたしは若い頃からリウマチで患ってる身内に東大病院を勧めたいと思いました。
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