2021年2月11日(木・祝)NHKスペシャル「2030 未来への分岐点(2)」”飽食の悪夢~水・食糧クライシス~”が再放送されてました。

出典:NHK
その中で「私たちは今、この暮らしが一転して食料危機が本当に起きるのではないかということを恐れています」
「人類の文明においてこの深刻な事態を若い世代の人たちに伝えるとすればどのように説明すればいいのでしょうか」と国谷裕子さん。

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スエ―デンの環境活動家トゥーンベリさんのような考えを持って行動されてる日本人は若い世代の人だけでなく高齢者でもごく一部しかいません。
戦後の高度経済成長など、地球にあるすべてのモノを商品にする資本主義社会に浸かりすぎて何をどうすればわからないからです。
しかし、この番組を見た大人と言われる人たちは自分たちが過剰な飽食を日々行っていることに気付き、何か小さなことでも行動を起こさなくてはと思うはずです。
この番組を前後編に分けて記事にしますが、この後編記事は私たちが何をすべきかということが示されていますので、まとめています。
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今の私たちの有り余る飽食欲求で、近い未来多くの人々が究極の犠牲を払うことを避けるために
飢餓の拡大が社会の不安定化を招くことはわかっているが…
今、国連は2030年までに食料を巡る歪みをなくし、全世界で飢餓ゼロにするという目標を掲げています。
2050年に人口100億となる世界。ただでさえ脆弱な今の状態に地球温暖化が加われば100億人を養うのはますます困難になっていくからです。
既にその端緒は表れています。

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去年、世界各地で大発生し、食料を食い尽くしていったバッタ。これも温暖化と関係していると言われています。

出典:NHK
農薬や化学肥料の大量使用による土地の後輩で引き起こされる大規模な砂嵐は今後温暖化によって頻発し農地にさらなるダメージを与えるとされています。
国谷裕子さんの

出典:NHK
「SDGsの2030年目標は飢餓をゼロにすることです」「この見通しを達成できる見通しは厳しいと思います」
「目標達成のためにどうしたらいいと思いますか?」
という問いかけに、食料支援が評価されノーベル平和賞を受賞した国連の世界食糧計画WFPのデイビッド・ビーズリー事務局長は、

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「私たちは明らかに後退しています」「新型コロナだけでなく、地球温暖化や紛争の増加などで飢餓は悪化の一途を辿ってます」
「今改革に着手しなければ、飢餓の拡大が社会の不安定化を招き、大量の難民が発生します」「飢えと社会の安定はつながっているからです」「何とか先手を打たなければなりません」
人類の持つ課題をこのまま放置した先の世界は?
フードショックにより起こること
このまま課題を放置いた場合、世界はどのようなダメージを受けるのか?
その影響は先進国にも及ぶと言います。
イギリスの環境経済学の専門家が大手銀行と共同で試算したフードショック(Food System Shock)と題された報告書には「温暖化が進むと、数ヶ国の穀倉地帯が同時に不作に陥ることが高まります」「すると、食料への不安が世界へと広がり、各国に輸出停止が連鎖する」と結論づけられました。
さらに指摘されているのは食糧危機を超えた危機の拡大です。

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過去に発生した暴動と食料不安との関連を数式化。輸出停止が連鎖した時に暴動が起きる確率を算出したところ、最も濃い赤色のところは10%以上の確率で、日本も数%の可能性があるとされています。
世界的に起きる暴動は食料生産を不安定化させ、危機は最悪の場合数年に及ぶとされています。

出典:NHK
「食料価格の高騰は抗議行動や暴動につながり、近隣諸国を巻き込んだ崩壊へとつながっていきます」「気候変動の影響が大きくなるにつれ、そのショックはさらに大きくなります」「2050年までには世界的なフードショックが起こる可能性が高いのです」「脆弱なシステムの中で世界の食料の10~15%失われるだけで、現在よりもはるかな社会的混乱を引き起こすのです」
フードショックが既に顕在化している国があります。
以前は中東のパリと言われたほどのレバノンです。
ほとんどの食品が3倍以上になり、食卓から肉や魚の料理が消えている家庭が大半です。
そのレバノンの現状は下の動画で見ることができます。
国民の半数以上はこのような生活に陥っており、デモや暴動が起こり、社会不安が極限に達しようとしています。
資源の偏りを放置すると
豊かな人々の危機への無関心が地球規模の破滅につながるという専門家もいます。理論環境課のサファ・モーテ博士は気象や地下水などの環境要因と人口や経済など社会要因を統合したシミュレーションを行いました。

出典:NHK
食料などの資源の偏りを放置し続けた社会はほぼ確実に崩壊することがわかりました。
緑の線は自然が生み出す資源の量です。

出典:NHK
人類はこれを利用し富を最大化させようとするため資源は減少していきます。

出典:NHK
富の増大に伴って人口は資源の限界を超え増加。
その時急増するのは一般の人々です。

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先進国に暮らす人々の増加はわずかですが、富の多くは彼らが独占します。
その後社会は食料などの資源の枯渇に至り、一般の人々は人口減少をはじめます。
しかし、豊かな人々はこの危機に気づかないまま浪費を続けます。

出典:NHK
その結果、豊かな人々の富も枯渇し、社会の機能が崩壊するのです。
サファ博士は現在の世界はシミュレーションが示す限界点に近づいてると分析しています。

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モーテ博士「私たちの生活、人類の運命そして地球の運命は資源の偏りを理解しコントロールすることにかかってます」「それは地球の資源を使いつくしてしまうかどうかを決める重要な問題なのです」
持続可能な食料システムに必要なこと
国谷さん「この半世紀大規模な農業の方が効率的だとされてきました」「実際、緑の革命は低コストでより多くの生産ができるという点では非常に成功しました」「しかし今、こうした方法は大きな壁にぶつかっているのではないでしょうか」という問いかけに対し

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食料システムの権威、世界自然研究所のクレイグ・ハンソン博士は、
「食料への欲求が人間の本質です」「貧しい人は食料の確保がより難しくなるでしょう」「食料がひっ迫し価格が高騰しても豊かな人々は何も困りません」「しかし、多くの人々は究極の犠牲を払うことになるのです」
「そのため4つの点でシステムを改善していかなければなりません」

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「まず、既存の農地で持続可能な方法で生産性を高めていかなければなりません」

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「第二に現在の食料システムは森林破壊の最大の原因となっているため生態系や熱帯雨林を守っていく必要があります」

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「第三に食料需要を減らすために食品ロスや廃棄物を減らし食生活を変える必要があります」

出典:NHK
「そして最後に劣化した農地を回復し自然を取り戻す必要があるのです」
持続可能な食料システムに向けての動きの例
プラネタリーダイエットで先進国の人々の食生活の変化をもたらす動き
先進国の浪費を止めると同時に、生産や流通の仕組みを改革することでシステムの脆弱性を解消しようということ。
肉は食べてもいいですが、量ではなく質を重視することがこの食生活の一番のポイントです。

出典:NHK
肉食が中心の先進国では牛肉や豚肉を8割以上、魚を多く食べる日本でも7割削減することを勧めています。
不足するタンパク質は豆類やナッツから摂取することを推奨しています。
肉を生産するために使われていた大量の穀物などは貧困層にまわし、偏りを解消します。

出典:NHK
今年国連では食品ロスサミットが初めて開かれ、生産から流通、消費まであらゆる段階でシステムを改革する道筋を見出そうとしています。
人工肉を開発し、普及させる動き
改革の鍵を握る、肉の消費の大幅削減は厳しい目標を新たな技術の乗り越えようとする模索がはじまっています。欧米で広まりはじめた人工肉です。

出典:NHK
人工肉の主な原料は大豆の為、大量な穀物を必要とする牛肉よりも水の使用量は87%減、温室効果ガスの使用量は89%減が可能なのです。
食料生産の現場も変りはじめています。
不耕起栽培の動き
2050年に向けて人口が急増しはじめているアフリカでは、国連は農業人口の大半を占める小規模農家が鍵を握るとしています。
世界のカカオ生産を担ってきたプランテーションが広がるガーナでは持続可能な農業に挑む農家が増えはじめています。
かつてガーナでは乾燥しやすい土地に適した農法が普及しませんでした。そのため大量尾化学肥料を使う欧米式のプランテーションに依存したため、土地の荒廃が進み、貧しさからも抜け出せずにいたのです。
コフィ・ボア博士「自分たちのために持続的に生産するために何をすべきかわかれば、私たちは飢えで苦しむこともありません」「好きなものを十分生産することができ、余ったものを売ることさえできるのです」

出典:NHK
ボア博士が提唱しているのはアフリカの森林の環境からヒントを得た不耕起栽培と呼ばれるものです。
土地本来の環境を守りながら作物を育てる方法で、地球温暖化への高い効果を期待されています。

出典:NHK
不耕起栽培では土地を深く耕さず、下草をなるべく生やしたままにしておきます。このことで土から水が蒸発しにくくなり、水や栄養分が土の中に保全されます。森林の仕組みと同じです。

出典:NHK
この栽培方法で化学肥料や農薬をほとんど使わず30%以上の増産を達成。草を刈る時間が大幅に減り、農家の負担が削減されました。
自給自足できる小規模農家が増え、農作物を市場に出すことも可能になっています。
この不耕起栽培についてもっと詳しく知りたい方は「ガーナ灌漑小規模農業振興計画フォローアップ運営指導(終了時評価)調査団報告書 」をご一読ください。
先進国や新興国で続く食品ロスを減らす動き
その膨大な浪費を飢餓の解決に活かそうと活動をはじめた若者たちもいます。大学生たちが立ち上げた”ファームリンク”があります。

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全米各地の150の大学、700人以上とネットワークを構築しています。廃棄されそうな食料に関する情報があると現場に近いメンバーが即座に対応、直ちにトラックなどを手配し回収し、食料が得られない人たちに配ってきました。
これまでに回収できた食べ物は11,000トン。これはアメリカの総人口の1日の食事の7%に相当する量です。
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最後に
私たちが意識してやるべきこと、若い世代の人たちに伝えることは、ハンソン博士の以下の言葉以上でもなく、以下でもないと思います。
「先進国の私たちが(肉食などの)食生活を変え、さらに食品ロスと廃棄物を削減できれば、現状でも世界で約6億ヘクタール、つまりインドの約2倍の広さの土地を食料生産のために無理につかわなくてよいことになります」
「私たちは環境の制約の中で持続的な繁栄の道を探さなければなりません」
そうすると、GDP世界3位の日本に住む私たちがまずできることは、家庭ではお肉を減らし、コンビニやスーパーでは廃棄をなくすことからではないかと。
この記事から読まれた方は前編の「地球資源や食料の枯渇に対してわたしたちが意識すべきこと!その為に知っておかなくてはならない現状。」を読んだ方が、より理解が深まると思います。よろしければご一読を。
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