2020年8月25日(火)NHK BS「BS世界のドキュメンタリー」で”超監視社会 70億の容疑者たち”と言うフランスの昨年のドキュメンタリー番組。
番組は、安全を求める強迫観念は新たな政治体制をも生み出しつつあるということで、ヨーロッパがSFのような監視社会の準備段階にあるとすれば、中国の現状は既にフィクションを超えているという。

出典:NHK
特に新疆ウイグル自治区の現状はあの忌まわしい歴史を連想させるくらいになってるということなのです。
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目次
中国の監視社会は地獄の一丁目では?
習近平、監視システムで権力維持
中国の規律正しい社会では、決して信号無視をしません。違反すれば街頭のモニターに顔を曝されるからです。

出典:NHK
AIは途方もない野望の実現を可能にしつつあります。14億もの国民を監視も元に置くと言う夢です。

出典:NHK
現在国家主席の習近平はAIの重要性をかなり早い段階から認識していました。

出典:NHK
2008年の北京オリンピックでは国家副主席としてすべてを取り仕切りましたが、その時、率先して進めたモノの1つが北京市の監視システムの構築です。オリンピック開催期間中にデモが起きないように、彼は市内に至る所に監視カメラを設置、顔認証と音声認識の技術を使えば群衆の中から個人を識別できる点にいち早く注目したのです。
監視システムは政府にとって強力な道具となり権力の維持に役立つはずという思いがあり、習近平は世界で初めてのデジタル独裁政権を確立したのです。

出典:NHK
国家主席になった2013年に1億台を数えた監視カメラは2020年には6億台に。国民2人に1台の割合です。
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社会信用システム
中国社会は近年、社会信用システムの導入をはじめました。
国民を生活行動によって格付けし、優遇または処罰する仕組みです。
表向きには反社会的な行動を抑制するためのシステムですが、共産主義的道徳を地方の隅々にまで浸透させる狙いがあると言われています。
中国北部、海に面した小さな街、栄成市は社会信用システムがいち早く導入されたモデル都市のひとつです。
採点の基準は地区ごとに掲示板に貼り出されています。例えば、食材を干すなど、許可なく路上を専用すると5点の減点、家庭ごみや落ち葉を燃やすと5点の減点などです。
道徳的な指針を求める栄成市の住民はこのシステムを歓迎しているようです。ここでは個人より社会の利益が優先です。

出典:NHK
「我々農民が都会で暮らすときに役に立ちます。生活態度を見直せますから」「有意義なシステムですよ」と。

出典:NHK
「点数の低い人のことをどう思いますか?」と尋ねると「そういう人とは付き合いを減らしますね」「道徳心のない人からはみんな離れていきます」
このシステムの理論を提唱したのが中国社会科学院の研究者林釣躍さんです。

出典:NHK
中国政府は彼の理論からインスピレーションを得て社会信用システムを生み出しました。
「国民は教育の必要のある子供のようなモノということですか?」と林釣躍さんに尋ねると、「はい、国民には教育が必要です」
「社会信用システムの特徴は問題行動の正し方にあります」
「誰かが法に抵触する行いをした時、その人を刑務所に入れることで解決しようというのではありません」「社会のまなざしがあなたの行動は良くないと告げることによって行いを正そうというシステムなのです」
また、林釣躍さんに「モンスターを生み出してしまったと感じることはありますか?」尋ねると、
「わたしはそんな風にはとらえていません」
「誰もが安心して暮らすためにまず必要なのは、平和で安定した社会です」「それがなければ人権について考えることすらできないでしょう」
「安心して暮らせるからこそ、人権といった問題に目が向くのです」
「とても良いシステムだと自負しています」
「今後は資本主義国にも輸出したいと思っております」

出典:NHK
栄成市は高得点を記録した人たちを表彰しています。町中には模範的な市民の写真が並んでいます。
逆に点数の低い市民の顔写真は悪い見本としてショッピングセンターなどで曝されることも。

出典:NHK
ある都市ではそうした相手と接触する時に警告する仕組みまであります。「あなたが電話した相手は裁判所から原点を受けています」「規律を守るよううながしてください」など。
現在、中国全土で2千万人以上がブラックリストに載せられ、旅行や長距離の移動を制限されています。
中国は大規模な貿易拡大に伴い、世界中にネットワークを広げようとしています。このデジタルシルクロード計画により中国の監視ツールは60~80ヶ国び採用されるかもしれないと言われています。
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新疆ウイグル自治区
2009年のウルムチでの激しい騒乱
中国北西部に暮らすイスラム教徒の少数民族です。
ウルムチの町はわずか数年の間に監視の実験場に化したと。

出典:NHK
「至る所に監視カメラがありました」「あらゆる通りの角に」
「2009年にはますます酷くなりました」「例えば高性能のボイスレコーダーが導入されて、一部のパトカーに搭載されました」「離れていても通行人の会話を録音できるようになったんです」「だから誰かと一緒に通りを歩いている時に、パトカーが走ってくるのが見えたら通り過ぎるまで話すのを辞めなくてはなりませんでした」
その2009年、7月5日、新疆ウイグル自治を揺るがす事件が起きました。

出典:NHK
ウルムチで激しい騒乱が起きたのです。ウイグル族がデモ行進を行い、警官隊に厳しく制圧されました。
一部のデモ参加者は武装して漢民族を攻撃、対して漢民族は応酬します。

出典:NHK
民族間の激しい衝突で数百人が命を落としたのです。

出典:NHK
中国政府はテロと過激な宗教思想との戦いを口実に取り締まりを強化、習近平がトップの座に就くと、この取り締まりは、さらに全体主義的な様相を帯びます。
騒乱から10年で新疆ウイグル自治区での治安維持費は10倍に、およそ100億ドルに跳ね上がりました。
世界で最も厳しい監視下に置かれるようになったのです。
番組スタッフがウィグル自治区現地取材で実際に監視に合う
現在のウィグル自治区で軍の検問では顔認証によるチェック、1ブロックごとに警察官の詰め所があります。
ウィグル族は頻繁に職務質問を受け、携帯電話をチェックされます。
ウィグル人のタクシー運転手は「監視の目はここ数年でますます厳しくなった」と。
彼はウィグル人としては珍しくアパートを借りられたが、ドアには監視するためのQRコードが付いているということ。

出典:NHK
役人がQRコードをスキャンすると、その世帯の情報、家族構成や在宅か否かも分かるのです。
さらに、タクシー運転手は深い話を。
「どこの一家も3~4人が行方不明になっています」「特にモスクで礼拝するイスラム教徒が狙われて、刑務所に送られるんです」「私の63歳の父もモスクに行ったため連行され、4年6ヶ月の刑を宣告されました」
「その刑務所の中を見たいんです」と言うと
「中には入れませんよ」
運転手は父親が入れられてる収容所にわたしたちを連れて行くと約束してくれました。
しかし、翌日の朝、中国のSNSを通じ知らない女性から連絡が来ました。
運転手は来られなくなったというのです。
「なぜ、あなたが連絡を?」
「私は彼の同級生です」「彼から機能の話を聞きました」「その後、彼に電話がかかってきて…」「問題が起きたのです」「どう説明すればいいのか…」
運転手の友人を名乗る女性は、信頼できるという別のドライバーをみつけてくれました。
しかし、ホテルの部屋を出た私たちは見張られていることに気付きました。数人の男たちがロビーで待ち構えていたのです。
そして、その後は跡をつけられました。
当局にとっての容疑者を割り出す元をハッキングで探す
新疆には収容所が1,000以上もあり、抑圧の強さがわかります。
また、人権団体によると、収監されてるウィグル人は100万人以上、新疆ウイグル人人口の10分の1に相当します。
当局は何をもって彼らにとっての容疑者をわりあてているのでしょうか?

出典:NHK
中国の警察官がアクセスできる大規模な監視システム、IJOP(一体化統合作戦プラットフォーム)に入り込んで、アプリの解析を行ったところ、

出典:NHK
中国国有企業CETC(中国電子科技集団)がプログラムの背後にあると確信。
IJOP(一体化統合作戦プラットフォーム)のリストを作っているのが人間なのかコンピューターなのかは闇の中です。
詳しくは下の動画で見ることができます。
2017年6月19日~25日のわずか1週間でIJOP(一体化統合作戦プラットフォーム)が地方当局に通知した要注意人物が24,412人、そのうち16,683人が再教育収容所、706人が刑事施設に投獄、2,096人は予防的な監視措置に置かれました。
この期間でこの人数をリスト化、人間がなせることではないと考えます。
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最後に
このドキュメンタリー番組で放送されたウィグル族迫害をとらえた動画(匿名でYouTubeに投稿されたもの)がありますので、この記事をここまで読んでくださった方はぜひ見てください。
ナチスドイツのユダヤ人迫害と同じようなことを中国が。。。
番組内で「地獄への道は善意で舗装されている」とありますが、まさに、わたしたちが一般市民の安全・安心のために善意だと思って賛同して行ってることが、自分たちを地獄に導いてるのかもしれません。
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