2019年8月7日(水)テレビ東京「未来世紀ジパング」は暮らしのクライシススペシャル。
日本はインフラの老朽化という問題に直面しているが、その中から今回放送されたのは水道管と信号機の老朽化問題。
高度経済成長期である1960~70年代に多くの水道管を敷設し、寿命(法定耐用年数)である40年を超え、全国の水道管が壊れはじめ、2万件以上も水道管漏水が発生する事態になっています。
川崎市の今の予算では1年間で40kmの水道管を更新するのが限界で、今のペースでの更新なら日本の古い水道管を全て更新するには130年かかると考えられてます。
日本だけでなくアメリカの水道管の現状、そして、対策としてどう挑んでいるかがわかりやすく放送されてましたので、ご紹介します。(信号機については別記事に)
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目次
地球2周半分の老朽水道管対策をどうするのか?
水道の現状と問題
日本の水道がピンチ
水道管の点検(漏水調査)は人一人が音聴棒を使ってやってます。
この点検は経験豊富なベテランしかできず、今、後継者に引き継いでいかないといけないという問題があります。
この点検方法だけ見ても人手不足になっていくことだろうということは想像がつきます。
ということも含め、水道管の問題の大きな要因は、1. 寿命であること、2. 交換時期の水道管が地球2周半分の長さであるので、今のペースでは130年以上かかること、3. 1kmあたりの交換費用が1億5,000万円とお金がかかることによりピンチなのです。
ところで、番組で川崎市の水道管工事で取り出した1977年に敷設した破裂した水道管を見せてもらったのですが、
中身は当然、サビだらけで、シェリーさんが「やだ~」とつい言ってしまうほど。
しかし、シェリーさん、ご自身でジャーナリストのソーブルさんに欧米のの状況についても確認されてましたが、どうやらもっと酷いみたいですね。
実はアメリカの方がもっとひどい状況
アメリカ ミシガン州フリント市では2015年に水道水が水道管から溶け出した鉛によって汚染されていたことが発覚し、住民が健康被害を訴え、大統領が非常事態を宣言し、水道水の代わりにミネラルウォーターを配給したり、大混乱。
人口減少で財政破綻しているフリント市は水道管の交換費用が捻出できない状態が続いており、目途が立っていないのです。
また、アメリカでは24万件の水道管破裂や漏水が起きているのです。
アメリカの自治体は100年ほど前の水道管でも、破裂するまで古い水道管を換えようとしない、できないのです。
2019年10月水道民営化
水道管の点検や更新の費用は各自治体が管轄する水道料金でまかなってます。税金ではないのです。
水道料金の全国平均はひと月3,227円。自治体ごとに料金差があり、全国で最も安いのは兵庫県赤穂市で853円。これに対し最も高いのは北海道の夕張市で6,841円。8倍の格差があります。
赤穂市が安い理由は水質が良いため、水の浄化にかかるコストが低いこと、それに加えて人口が密集しているため配水管を配置する効率が良いことなどがあげられます。一方で最も水道料金の高い夕張市は広い面積の中に、住宅が点在しているため一人当たりにかかる負担額が多くなるためなのです。
こういったことで、日本政府は水道を民営化し、大企業に参入してもらうことで、経営基盤を強化を進めようと法改正を行いました。
民間企業の水道事業への参入により、現在8倍の格差が20倍程度になってり、さらに、集落が点在している地域は、この水道管のメンテナンスにお金がかかるので収益性の望めない地域では、受け皿となる企業が出てこない可能性は十分考えられるといいます。
日本がはじめるコンセッション方式での民営化は、イギリスは民営化後17年間で他の物価上昇の平均よりも水道料金は39%も高くなってたり、フランスは1985年から2008年までに水道料金が174%増したり、うまくいってないのではないかという疑問も多く、民営化で丸々解決することにはならないという懸念はぬぐえません。
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未来世紀ジパングから、水道管更新加速化の今を
AIを使って老朽化解析で更新の効率化を
アメリカカンザス州トピカ市の水道管交換の現場に日本人がいました。
アメリカを拠点とするFRACTAのCEO加藤崇さんです。
FRACTAはFracta LOF*というAI/機械学習による水道管破損/漏水の「確率予測」向けソフトウェアを提供しています。
Fracta LOF*は全米18州、40社以上の水道事業に導入されており、実績をあげており、逆輸入され始めました。
今年2月から川崎市が実証実験しています。さらに、神奈川県営水道でも検証をかいししたそうです。
水道管更に新SDF(ステンレス・ダイナミック・フレキシブル)工法
SDF工法というものが紹介されてました。
既存の水道管を取り除かないでフレキシブルな水道管を入れ込む更新方法で、軌道下や河川下の伏越し配管,交通量が多い道路横断部,他企業の埋設管が輻輳している場所等,開削による更新が困難な場所で管路更新を行う際には非常に有効な工法であると言えます。
共同構
次に共同溝が紹介されてました。
共同溝とは毎日の生活に欠かせない電話、電気、ガス、上・下水道などのライフラインのうち、電話局間、変電所間、浄水場間等を結ぶ主要な幹線を収容する施設です。
主に車道の地下に設置され、内部にはライフラインの収容空間のほかに、人が入って維持点検などの管理作業を行うための空間や、換気設備、排水設備、照明設備などが確保されています。
道路の掘り返し工事の防止、地震災害に強い都市づくり、ライフラインの安全性の確保、工事渋滞の軽減、環境の保全が図られます。
日本は地層が入り組んでいるためにシールドマシンなくしては地下にこのような共同溝を掘り進めることは難しいということ。
1日10m、掘り進めることができるそうです。
既に東京都内では100km以上設けられてます。
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最後に
共同溝をはじめ未来世紀ジパングっで紹介されたことは、仕方ないことですが、効率を考えると、都市部が優先されて行われてることなんでしょう。
ということは、やはり格差が広がる。収益性の望めない後回しの地域は生活しづらくなっていき、若い者が離れ、過疎化がさらに進むことになるんでしょうね。
数年前のことですが、前職で橋梁点検をセンサーを使ったシステムで行うことで、人手不足を補いたいというので作れないかという話ありました。
その頃聞いた橋梁点検方法は今回の放送であった水道管の漏水点検と同じく、音で異常を察知するやり方で、やはり熟練作業員が必要なだが、定年を迎えたりして人が足りないとうことで困ってました。
しかし、こういった会社1社でこのシステムを構築する初期費用が高額で賄えないというのが現実としてあり、わたくしの会社も赤字でシステムを構築するわけにはいかないので、結局今までの点検方法で時間だけが過ぎていくようなことになって…
ですので、諸々の社会インフラの点検システムを国が一括で構築し、各自治体で使える仕組みが必要と思ってたのですが、やはり国は民営化に踏み切っていくんですね。
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