資本主義の二律背反、自由のために自由放任主義思想とは決別すべきだが、監視経済はディストピア!アンビバレント地獄に陥りまくり?

岩井克人

2020年2月17日内閣府より2019年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、前期比1.6%減となった。消費税率の引き上げや多数の死者を出した台風19号が影響したとみられ、5年半ぶりの落ち込みとなったという発表がありました。

前期比1.6%減は、前回の消費増税直後の2014年4~6月期に記録した1.9%減以来の落ち込み。

ここだけみると、2019年10~12月期としては自然災害の影響や増税による消費者心理の冷え込みということで済まされてますが、7年のアベノミクスで日本経済の実力不足が解消されてなかったということになるのでしょう。

今回、増税の影響があまりないように対策してきたはずですし。

安倍政権発足時と現在の経済指標

出典:西日本新聞

これでは、米紙ウォールストリート・ジャーナルと英紙フィナンシャル・タイムズの社説には日本の経済政策(アベノミクス)への懐疑論が掲げられるのは仕方ないでしょう。

今年2020年1月3日(金)NHK BSで放送された「欲望の資本主義2020~日本・不確実性への挑戦~」で、日本、海外の経済に、財政に携わる、携わってきた人たちの、日本の今までの、今の経済財政対策への批評や批評家の批評はしているが、本質的な答えは持ち合わせてないとしか思えませんでした。

「もう答えはないのかも」となると、超難問の答えを考えるよりも、自分が生きてる間だけ、自由に己の利潤だけ追求して楽しく生きればいいという考えに時間を費やした方が合理的というのが日本のマジョリティなのかもしれません。

個人の合理性が全体の非合理性を生んでいる

出典:NHK

その放送の中で、一人だけ違うと感じた方がおり、その方が発した非常に頭の中に残る言葉がありました。
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経済学者岩井克人さん(東京大学名誉教授)の言葉が残る

GAFAの成長でディストピアへの道が

新たな情報の時代は幕を開けた。成長か?安定か?豊かさをめぐるジレンマにわたしたちが足踏みをしている間も、世界は止まることなく、動き続けていた。

私が研究している間にGAFAが登場して、あっという間にこの10年でどんどん大きくなりましたね。

市場万能論に対する異端の経済学者ジョン・K・ガルブレイズは、資本主義は成長を維持するため欲望を際限なく作り出していく宿命にあるとアイロニカルに描いた。(語り)

“生産の増大に伴う消費の増大は人々の虚栄心をあおり、欲望を作り出す”、”高い消費基準は生産の拡大期待を高める”、”今度は生産者が積極的に宣伝や広告で欲望を作り出そうとする…”、”こうして欲望は生産に依存するようになるのだ”

実は現在はガルフレイズが描いたディストピアした以上のディストピアとなっています。

デストピア

出典:NHK

GAFAはわたしたちの内面、好みをひょっとしたらわたしたち以上に知り得てるかもしれない状況が生まれてきているかもしれない。

テクノロジーの進化は生産者の論理をむきだしにしたのか?(語り)
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中国経済が向かっている評価経済は最悪のディストピア

そして、もう一つの大国がパンドラの箱が開いた。(語り)

中国はブロックチェーンの技術を使って、人々の取引、行動全て、数珠つなぎに記録していき、評価しようとしている仕組みを作っている。

わたしは評価経済というのは最もおそろしいディストピアと思ってます。

評価すると必ず半分は平均以下で、みんなが平均以下だろうとするプロセスは際限ない評価の競争が起こる。

評価経済というのは、評価経済をまじめに言っている人はいるんですけど、それは恐ろしさをわかっていない。

ビッグデータの奴隷になること、自分で目的を設定しないことが人間は楽なんですが、これまでの歴史の中で自分で目的を設定できることは大変なことなんですから。

貨幣とはこの世に存在する最も純粋な投機

みんな好かれたい。みんないい人になりたい。溢れるみんなの善意。どこまでも合理的に、どこまでも効率的に。でも。(語り)

あまり世の中不安定だと、具体的なモノを持つより、可能性をためたほうがいい。このことはケインズのいう流動性選好というもの。

合理的選択が招く不況

出典:NHK

人々は不安になると、色んなものを手に入れる手段であるお金を好んでしまう。お金を貯めこむということはモノを買わないということで、このことが不況を引き起こすと言っているのです。

みんなが自らの利益を求めれば求めるほど、みんなが貧しくなるとしたら…(語り)

お金はよくよく考えると本質的に投機なんです。日常何気なくつかっていますが、最も深いところで考えてみると、実は投機をしているんです。

投機とは例えば、不動産を自分が使うためじゃなくて、他の人に売るために買う。この定義に当てはめてみると、500円玉を食べるためではなく、モノとして並べるためではなく、モノを買うために他の人に渡すために今手に入れる。

そういうふうに考えると貨幣とはこの世に存在するもっとも純粋な投機。

貨幣は最も純粋な投機

出典:NHK

お金を使う時に、わたしたちは他の人が受け取ってくれるということに賭けて生きているわけです。
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資本主義の二律背反、市場には不純物が必要。それは?

数学を駆使し、市場の本質を突き詰めた果てに、岩井は資本主義の二律背反に行きついた。(語り)

自由と安定

Freedom and stability

不純物のない貨幣を持った市場経済は常に崩壊する危機にあります。

器を少し広げればインターネット上で起こってる人気投票的なものはいっぱいあるのです。それに通じることを全てやっています。

“いいね”が集まれば評判になっていくことは、ある面で最も不安定で、勝ち馬に乗っていたら勝ちですが、”いいね”が集まるのは根拠がないんです。

個人の合理性が全体の非合理性を生んでしまう。

良かれと思って合理性を求める程に、社会が不合理に揺れるとしたら、わたしたちが抱え込んでいる合理性、合理性のワナ(語り)

誰の意志でもない意志

出典:NHK

 

わかりたい。それは得か?損か?。善意も正義も力を入れて握りしめるほどにこぼれ落ちていくのか。(語り)
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信任関係という不純物が市場を

数学的なモデルで、一つの時代を築いたケインズは、その一方でこう言っている。(語り)

“人間の活動のほとんどは、それが経済的なものであっても、数学的期待値などではなく、自然と湧きあがる、楽観に左右されるのが事実だ”、”いつも、それゆえの不安定性を抱えている”、”それはアニマル・スピリッツ、動物的精神と呼ぶべきものだ”、”人々を活動に駆り立てる人間本来の衝動の結果として生まれるものであって計算の対象にはならないのだ”

人間の心の底に眠る生命力、根拠なき精神のジャンプこそが資本主義を駆動してきたものなのだ、と。(語り)

将来について、人間はほどんど何にも根拠を持っていないのです。何にもないけれども、ポジティブな方に賭けること、これがアニマルスピリッツです。

これだけ不確実で、不安定だらけの世界の中でも、資本主義というのがある意味発展してきた。

岩井は根源的に不安を抱える資本主義に敢えて不純物を投入しようとする。(語り)

今までの経済学は、アダム・スミスが典型ですけど、人間関係を全て契約でみなそうとしました。

契約と言うのは、契約自由の原則があって嫌だったら結ばなくていいのです。

トランプ大統領が大好きな「win-win situation」ですね。お互いに共に得するから契約を結ぶと。

言わば、アダム・スミスの「見えざる手(すべて市場に任せておけば社会は豊かになる)」のミニアチュア版なんです。

資本主義がこれだけグローバル化して、どうやらその中核の問題というのが、契約では還元できない信任関係(信頼によって任す)の問題だということです。

信任関係

出典:NHK

救急病棟のお医者さんがちょうど書いている研究論文のサンプルに合う患者さんが運ばれてきたが、抑えて患者さんの命を救わなくてはいけないみたいな関係。患者さんはお医者さんを信頼して自分の命を預ける、お医者さんはその信頼に応じて、自分の利益を抑えて治療をするという、お互いの信頼によって任す任される関係と言うのが例の典型。

契約ではなく、信任する

出典:NHK

契約ではなく、信任すること。それは数字ではなく、人に賭けることだ。(語り)

ケインズは過去だけ知っていて現在は何も知らない人間と現在だけ知っていて過去は何も知らない人間のどちらがより保守的かと言うレトリカルな質問をしているのです。

現在だけ知っていて過去を知らない人間の方が逆に保守的になり、過去だけ知っていて現在は何も知らない人間の方が進歩的になると言ってます。

思想の歴史を学ぶことが精神 の解放に必須

出典:NHK

なぜかと言うと、旧約聖書の「太陽の下に何も新しいものはない」のであって、未来について行き詰っている時に、世界中で流行っているビッグデータを集め未来を占わせるのも一つの生き方もありますが、未来は予測できないから、過去のデータの中に未来に対する何かヒントが隠されてるんじゃないかということなのです。
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最後に

この放送の中で岩井先生の「わたし自身がある面で考えられないような事態が起こっていることがあるんです。全て自由放任主義でいいという思想に対して、わたしは自由を守るためには自由放任主義思想とは決別しなくてはならないという逆説があると声を大にして言いたい!」という言葉が一番好きで、頭に残ってます。

このことは、世界に名を知られる経済学者の巨人宇沢弘文先が唱えた、利潤の原理のみで動こうとする資本主義の中にあって、公共の壁を作ろうとする試み社会的共通資本を踏襲している感じが一番しました。

自然環境(大気、水、森林、河川など)、社会的インフラストラクチャー(道路、交通機関、上下水道など)、制度資本(教育、医療、金融など)に属するものすべては国家に管理されたり、利潤追求の対象として自由市場にゆだねたりしてはならないのだと。

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1970年長崎県五島生まれ 現在、家族は妻、息子の2人 品川区在住、品川区勤務 好きな作家:池井戸潤、伊坂幸太郎、真山仁 好きなドラマ:救命病棟24時、医龍 好きな映画:グローリー 好きな女優:石田ゆり子、イングリッド・バーグマン 好きなスニーカーメーカー:PATRICK