マルクスの「資本論」の草案、現在刊行中「MEGA」でコモン(共有財産)共同管理社会とエコを描写!

マルクスの「MEGA」の一部

2021年1月25日(月)のNHK Eテレ「100分de名著」はマルクスの資本論についての最後4回目の放送で”コモンの再生”でした。

私たちはあまり考えず、資本主義社会にどっぷりと浸かってきていますが、人間のことだけしか考えてこなかったこの社会に弱点や矛盾が出てきていることは明白です。

どうにかしないといけないと思っている方も多いと思いますが、どっぷりと浸かってきたせいか、どうしたらいいか、どこからはじめなくてはいけないか考えが浮かんできません。

マルクスの「MEGA」

出典:NHK

今回の放送は「資本論」を書いたマルクスが思い描いた将来社会、資本主義に変わる社会について、現在も刊行中のマルクスの新しい資料「MEGA」を読みながら「資本論」を再解釈すると違った姿が見え、考えのヒントとなりますので記事にまとめてみました。

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マルクス、「MEGA」と「資本論」で社会の富を守るヒントを提供

資本主義下では物質代謝、人と自然の循環に亀裂が次々に起きている

物質代謝に亀裂が生じるメカニズム

物質代謝論

出典:NHK

マルクスの物質代謝論の通り、私たち人間は絶えざる自然との循環過程の中で生活を営んでいます。

しかしながら、この資本主義社会下ではこの循環のありとあらゆるものを商品化していき、利潤追求のために使っていってしまっており、そのせいで労働者たちの生活が酷いことになっていっています。
循環の過程の中で労働がゆがめられていくと、人間だけでなく自然側にも様々な矛盾がでてきます。

そこで、マルクスは物質代謝論を土台にエコロジーを考えていました。

以下は資本主義の下で人と自然の循環が乱されてきたことのわかりやすい例です。

都市部の生活を支える食料は農村部で大量生産されます。

資本家は作物を売り払えればいいので効率を重視した大規模で無茶なを連作を続けます。
土壌が養分を取り戻す時間を待たず、農村部の土地を貧劣させていきます

都市部の暮らしのツケを農村部が払わされていたのです。

一方、都市部では長時間労働や低賃金などにより労働者が搾取され疲弊していきます。

以下の動画では物質代謝の亀裂についての一連を見ることができます。

 

このままでは物質代謝に修復不可能な亀裂が生じるとマルクスは警鐘を鳴らしました。

アソシエーション

出典:NHK

マルクスは社会変革のヒントを語る時アソシエーション(自発的な結社)と言う言葉を使ってます。

大土地所有は社会的な物質代謝と自然的な土地の自然諸法則に規定された物質代謝の連関の中に修復不可能な亀裂を生じさせる諸条件を生み出すのであり、

その結果、知力が消費され、この浪費は商業を通じて自国の国境を越えて遠くまで広められる。

アソシエートした生産者が盲目的な力に支配されるように、自分たちと自然との物質代謝によって支配されることをやめて、この物質代謝を合理的に規制し、自分たちの共同的な制御のもとに置くということ。

つまり、最小の力の消費によって自分たちの人間性に最もふさわしく、最も適合した条件のもとでこの物質代謝を行うこと。

引用:マルクス「資本論」より

物質代謝の亀裂というものの現在起きている一例

森のバターと言われる栄養分が豊富なアボカド。

そのアボカドは土壌の養分を徹底的に吸収するから栄養分が高く、栽培するのに水が大量必要。

チリは干ばつ続きだがアボカドは生産を続けている現状

出典:NHK

実はアボカドは南米ほとんど生産されてますが、雨の量が少ないチリでは2010年から深刻な干ばつが発生し、生活用水の不足や牧畜、農業に影響が出ている上にコロナ禍での手洗いでより水が必要な状況で追い詰められてる一方で、私たち(日本人)は栄養価が高く、美容と健康にいいアボカドという一面だけ捉えて、それ以上何も考えず食しています

本当のコストは不可視化されている

出典:NHK

現実は本当のコストは不可視化されたところで、押し付けられているということなんです。

資本主義の先進国のニーズを満たしてお金になるからと言って一部の人たちがめちゃくちゃなことをはじめてしまう
マルクスはこういったことを続けていくと持続可能な社会ではなく、循環に亀裂が入っていくということ批判していたのです。

ちなみに、以前、森林総合研究所主任研究員藤井一至(かずみち)さんの研究について「食料の95%は土が育んでいるもの。作物を育てる土をこれ以上減らさないで増やしたい‼ 食糧危機を防ぐために20年間研究する学者の思い」で記事にしましたが、この記事をよんで頂くと私たちが生きていくにあたって土壌の大切さが本当にわかります。

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亀裂の修復のためにはアソシエーションが使用価値を求める働きを

アソシエーションが使用価値・富を重視した生産様式を行うことが

物質代謝に入った亀裂の修復のために、マルクスは、アソシエーション(自発的な結社)、アソシエートした生産者たちが、自分たちの為にどんなものをどう作るか決めるような働き方をしていき、それを元手に労働者の生活や自然のことをもっと大切にするような働き方を実現していこうではないかと。

出典:NHK

利潤を永遠に求めるような生産から、使用価値(人間にとって役に立つこと)あるいは富を重視するような生産様式に移行していこうというのがマルクスの根本的な発想なのです。

資本主義に持続可能性はないのか?

「環境を修復したり保全することすらもビジネスにするというか、環境修復や保全努力をしている企業の商品ならば少し値段が高くとも買おうという消費者が出てきたりしています」「資本主義社会のまま、なんとかならないか感がすごく感じられる」と伊集院さんが。

資本主義社会に持続可能はないのか?

出典:NHK

斎藤先生「それはダイエットコークをがぶ飲みしているのと一緒」「エコに配慮しているから少し値段は高いですが、環境にやさしいですということで、消費者は安心して、免罪符にして資本主義に絡み取られていくのです」

一時的な効果は0ではないが、大規規模になっていった時、どこかで人々の生活や自然を破壊していくような結果になっていってしまうのです。

地球全体を持続可能で管理するような経済の形というのが可能なんではないかということがマルクスの問いかけなのです。

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マルクスの目指す社会に必要なことはコモンの再生

否定の否定は、生産者の私的所有を再建することはせず、資本主義時代の成果を基礎とする個人的所有を作りだす。

すなわち、協業と、地球と労働によって生産された生産手段をコモンとして占有することを基礎とする個人的所有を再建するのである。

引用:マルクス「資本論」より

 

この内容のキーワードは生産手段をコモン(=共有財産)として占有することです。

リンゴ栽培でのコモン

出典:NHK

例えば、リンゴ栽培の場合、収穫したリンゴはみんなで分配し、個人所有が認められますが、リンゴ畑や栽培する道具や方法などの知識はコモン(誰もが使える共有財産)となります。

土地や地下資源、知識と言った社会の富をコモン(共有財産)として管理していく。

地球上の隅々まで商品化していく資本主義の下で独占されていった富を取り戻そうと考えたのです。なぜなら地球は誰のものでもないからです。

マルクスは現在のわたしたちにも語り掛けています。

より高度な経済的社会構成の立場からみれば、個々人による地球の私的所有はある人間によるほかの人間の私的所有と同様に全くばかげたものとして現れるだろう。

地球の所有者ではない

出典:NHK

一つの社会全体でさえ、一つの国でさえ、いな、同時代の社会を一緒にしたものでさえ、地球の所有者ではない。

それらは地球の占有者、地球の用益者にすぎないのであり、よき家父として、これを改良して次の世代に遺さなければならないのである。

引用:マルクス「資本論」より

 

能力に応じて、必要に応じて

出典:NHK

「各人はその能力に応じて、各人はその必要に応じて」

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コモンを回復していこうとする世界的な例を紹介

地域政党バルセロナ・イン・コモンがコモンの回復を目指し様々な改革を行っています。

その一つが住宅不足問題です。

バルセロナ市は年間1,200万人の外国人観光客が訪れます。その結果賃貸アパート、住宅(コモン)がより儲かる民泊(商品)施設へと転用され、物件が不足。

バルセロナ市の家賃比較

出典:NHK

2019年までの5年間でおよそ40%も家賃が上昇。民泊と言う商品になることで人々の生活を脅かしていったのです。

バルセロナ・イン・コモンの動き

出典:NHK

バルセロナ・イン・コモンは取り締まりを強化、違法民泊4,900件に営業停止命令を出し、さらに低所得者世帯が安定的に暮らせる公営住宅の増設をするなどの法律を制定したのです。

市民が自分たちの手で住宅というコモンを共同管理するマルクスが唱えたアソシエーションにも通ずる考えです。

また、バルセロナ市では水や電気が民営化による営利目的で利用されるようになり、利用できない市民が増えており、エネルギー貧困や水貧困という問題が発生していました。

そこに対しても市民が再公営化の運動を行っています。この動きはヨーロッパ中に広まっています。

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最後に

斎藤先生のアボカドの話、本当に身に沁みます。

そして、インドネシアのアブラヤシのパーム油でも同じようなことが起きてることも知っておいて頂きたいです。

パーム油の話の詳しくは「令和元年(2019年)の世界の大森林火災が人類滅亡を加速化‼ 化石燃料発電以上に大いに進んでいく地球温暖化の怖さを知るべき。」の記事をご一読頂ければと。

この記事から読まれた方で1、2、3回目の放送内容も知りたいという方は

第1回目放送内容は150年以上前のマルクス「資本論」は今こそ読むべき名著!資本主義社会で私たちがなぜ悩んでるかがわかる‼」、

第2回目放送内容は「資本主義下の労働者が過酷な労働環境から逃げたり・抵抗したりできない理由がマルクス「資本論」にある。」、

第3回目放送内容は「資本主義下のイノベーションは労働者の負担減じゃなくブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)生む!

をご一読下さい。

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1970年長崎県五島生まれ 現在、家族は妻、息子の2人 品川区在住、品川区勤務 好きな作家:池井戸潤、伊坂幸太郎、真山仁 好きなドラマ:救命病棟24時、医龍 好きな映画:グローリー 好きな女優:石田ゆり子、イングリッド・バーグマン 好きなスニーカーメーカー:PATRICK