資本主義下のイノベーションは労働者の負担減じゃなくブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)生む!

イノベーションがブルシット・ジョブを生む

2021年1月18日(月)のNHK Eテレ「100分de名著」はマルクスの資本論についての3回目の放送ですが、Eテレではめずらしいサブタイトル”イノベーションがクソどうでもいい仕事を生む!?”でした。

イノベーション、技術革新が進むということは生産力が実際上がっていますから労働者の負担は減るのが普通の流れだと多くの人が思っていました。

しかし、単純に言ってしまえば資本主義の下でのイノベーションが起きたとしても、労働者たちをより効率的に働かせることで今までよりも安くモノを作ろうとするもので、労働者たちはその駒になってしまっているのが現実なのです。

では、機械の駒になっていることを自覚している労働者たちはどうやったら解放されるのでしょうか?

マルクスの資本論にそのヒントが。

<Sponserd Link>



イノベーションによる労働の構想と実行の分離が労働者を苦しめる結果に!

資本主義下ではイノベーションは資本家の儲けためにある

生産力が上がっても労働力はなぜ楽にならないのか?

今でもイノベーションで労働者は楽になると信じて疑わない人たちはまだまだ多いのですが、イノベーションは労働者を苦しめてきたこと、これからも苦しめていくことに気付いてる人も増えてきています。

なぜ、イノベーションは労働者を楽にしないのでしょうか?

番組ではイノベーションにより労働者が苦しくなっている例をシャツづくりの工場で説明しています。

資本家Aの工場では1着のシャツを手縫いで作り10,000円で売っていたとします。

一方、資本家Bの工場ではミシンを導入。大量に安く作れるので1着1,000円で作ることが出来るようになりました。安い商品は当然市場でシェアを広げることができます。

さらに資本家Aが10,000円で売っているので、5,000円で売っても優位に立つことができます。この時、4,000円の上乗せ分は丸々資本家Bの儲けになるのです。

となれば、当然他のシャツ屋も黙っていません。みんなミシンを導入し、さらに安い値を付け、資本家Bからシェアを奪するでしょう。

そこでは、賃金をも値下げされるとマルクスは言います。

マルクスの「資本論」の一部①

出典:NHK

「商品を安くするために、そして商品を安くすることによって、労働者そのものを安くするために、労働者の生産力を増大させることは、資本の内在的衝動であり、不断の傾向である」

価格競争の波に乗り遅れると淘汰されてしまう資本家は儲けを拡大しようと必死になり労働者は酷使されるのです。

消費者が商品が安くなることは良いことと単純に思ってしまうことは危険

私たちは消費者でもあると同時に労働者でもあるのです。

マルクスは労働者の賃金は生活費で決まると。

実はマルクスは労働者がもらえる賃金は生活費で決まると考えてたんです。生活費とは食費・家賃・光熱費、今日であれば通信費(インターネットや携帯の料金)を足したもの。それぐらいが賃金と。

今、非正規雇用者を多く雇い、手取り15万円ほどの給料で、ファーストフード・ファーストファッションでやってくれと資本家がパワーバランス次第で言えてしまうのです。

そうすると、社会全体に貧しい賃金しかもらえない労働者たちの一群が形成されるようになっていくのです。

資本家にとっては夢の技術革新ですが、実はイノベーションを進めて行く際には労働の効率をできるだけ上げていかなければならない。そのためには資本家の命令を聞くような労働者をどんどん集めていかなければならなくなるのです。

資本家に都合のいいような生産過程を作り出すというのが、マルクスが最も問題視していた言わば”働かせ方”改革の本質なのです。

労働者が賃金下がっていくという貧しさだけでなく技能・能力も奪われ、貧しくなり、誰でもできるような仕事だけになっているのが現状です。

商品が安くなっているということは裏側にこういった危険を含んでいるということなのです。



労働者を追い詰める構想と実行の分離

労働の”構想”と”実行”が統一されてることが人間らしい姿

まず、マルクスは労働は”構想”と”実行”に分けられると言っています。

労働の構想と実行

出典:NHK

例えば土鍋を作ることで考えてみると、耐熱性や耐久性など考えて計画を練るのが構想で実際に作るのが実行です。

本来マルクスによると構想と実行が統一されていることが人間らしい姿と考えていました。

構想と実行が分離していく

出典:NHK

しかし、資本主義下で技術革新が起きて、生産力が上がっていく過程で構想と実行が分離していってしまってきたのです。

労働者を追い詰める構想と実行の分離で、いったい何が起こる?

構想と実行が統一されていた仕事は昔の職人仕事などです。

職人が作れる仕事には限界があるので、たくさん作ってほしいと依頼しても断られてしまいます。

安く大量に生産したいと思っている資産家にとってはとても不都合です。

そこで資本家は職人が経験や勘を頼りに行っていた技術をつぶさに観察、分析し、切り分けていきました。分業させることで、素人でも少しトレーニングすれば、道具を用いて作業できるようになります。

作業をマニュアル化し、職人みたいに口答えしない素人集団を集めれば、生産性もコントロールしやすくなります。

マルクスの「資本論」の一部②

出典:NHK

マルクス「マニュファクチャ労働者は、その自然的性質からも、独立なものを作ることができなくされており、もはやただ資本家の作業場の付属品として生活的活動力を発揮するだけである」

構想と実行の分離は機械化によって一層深まり、労働者は機械の歯車に

無駄を徹底的に省くため、用途に合わせた専用の機器を導入。

すると機械のペースに合わせて労働者は作業を行うようになります。

労働者は主体性をなくし単純作業に専念させられる。

マルクスはこの巡回を人が機械の歯車として使われているとしました。

マルクスの「資本論」の一部③

出典:NHK

マルクスは「機械労働は神経系統を極度に疲弊させる一方、筋肉の多面的な働きを抑圧し、心身の一切の自由な活動を封じてしまう。労働の側でさえも責め苦の手段となる」「なぜなら機械は労働者を労働から解放するのではなく、労働を内容から解放するからである」と。

構想と実行が分離することで、労働者は何年仕事をしても何の技能も見に付かず、機械の一部と化して働き続けるしかないのです。

思考が停止してしまって、この現状をそのそのままに受け入れてしまうということは、本来マルクスが思い描いていたビジョンと違いました。

マルクスは人間と言うのは色んな可能性もあり、労働者たちも自分の能力を発展させる可能性があったかもしれない。元々そういう(思考停止している)人たちだったというより、機械化が進んで行って、構想を奪われて機械の部品として働き続けることになってしまったのです。

言ってみれば、慣れてしまって、諦めてしまっている現代の労働者たちの姿に重なります。

資本主義下では構想を独占した資本家が優位に立ち、労働者は働けば働くほどに貧しくなっていく負の連鎖に。イノベーションが進むほどに、本来の労働の豊かさは失われてきたのです。

マルクスの「資本論」の一部④

出典:NHK

資本主義システム内では、

労働の社会的生産力を高める方法はどれも、

個々の労働者を犠牲として行われるものであり、

生産を発展させる一切の手段は生産者たちの支配と搾取の手段に転化し、

労働者たちを部分人間へと不具化させ、労働者を機械の付属物へ貶め、労働区で労働内容を破壊する。

そして、科学が自立的力能として労働過程に合体されるほど、労働過程の精神的力能はを労働者に疎遠なものにする。

引用:マルクス「資本論」より



ブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)を自覚する労働者がブーム!?

資本論が書かれてから150年余り。現代ではマルクスが指摘した構想と実行の分離が鮮明化し新たな事態に直面しているのです。

ブルシット・ジョブ

出典:NHK

今、新しい仕事の概念として”ブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)”が世界的なブームとなっているのです。

ブルシット・ジョブとは社会的にさほど重要と思われず、逆になくなった方が有益ではないかということで、本人でさえも意味がないと感じている仕事のことです。

効率化を求めてきたのですが、資本主義社会では資本家はできるだけ労働者を働かせたい、どんどんどんどん働かせようとすることで、ついには意味のない仕事をでっちあげてまで労働者たちを束縛して働かせないといけないようなところにまで来ているというのがデヴィッド・グレーバーの主張です。

広告業、コンサルタント、投資銀行とかです。

広告が一番わかりやすいんですが、歯ブラシや歯磨き剤の宣伝でモデルの歯を白くする作業をやってる人がいるのですが、やってる人たちは気が付いているんです。いくらモデルの歯を白くしても歯ブラシ、歯磨き剤の品質は全く変わらないことを。口紅してもパッケージにしてもお金と時間を割いているが、口紅の品質は1mmも変わらないのです。むしろ、宣伝で「この口紅を付けないとあなたはブスですよ」みたいなあおりをしているということに加担しているということをやってる労働者たちは感じていると思うのです。

確かに。

<Sponserd Link>



最後に

で、実は今世界中の労働者から「俺の仕事ブルシット・ジョブだった」と言う声がすごく出ており、このことはマルクスが言ってる”労働の疎外”で、構想と実行が分離されてきた極地と言ってもいいんですと斎藤先生。

今の多くの労働者は意味のない仕事に毎週40時間、人生のものすごい時間を割かなくてはいけなく、「俺の人生って結局何も残せなったな」となっているそうです。

そこで、マルクスの「資本論」に戻って、マルクスが言う”構想と実行の統一で豊かな労働”、構想と実行の分離を乗り越えて、もう一回仕事をやりがいのあるもの、社会に役立つものに変えて行こうというのが基本線。

そに戻ることが求められてきてる流れも生まれてきているそうですが…

イノベーションの流れはなかなか止まりそうも感じじゃなさそうな気がします。

この記事から読まれた方で1、2、4回目の放送内容も知りたいという方は

第1回目放送内容は150年以上前のマルクス「資本論」は今こそ読むべき名著!資本主義社会で私たちがなぜ悩んでるかがわかる‼」、

第2回目放送内容は「資本主義下の労働者が過酷な労働環境から逃げたり・抵抗したりできない理由がマルクス「資本論」にある。」、

第4回目放送内容は「マルクスの「資本論」の草案、現在刊行中「MEGA」でコモン(共有財産)共同管理社会とエコを描写!

をご一読下さい。

<Sponserd Link>


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUTこの記事をかいた人

1970年長崎県五島生まれ 現在、家族は妻、息子の2人 品川区在住、品川区勤務 好きな作家:池井戸潤、伊坂幸太郎、真山仁 好きなドラマ:救命病棟24時、医龍 好きな映画:グローリー 好きな女優:石田ゆり子、イングリッド・バーグマン 好きなスニーカーメーカー:PATRICK