2019年9月29日(日)の「サイエンスZERO」で、自己治癒するコンクリートとセラミックスが紹介されていました。
国内の橋、トンネル、高速道路などのインフラは40~50年前に建設されて、コンクリートの劣化が進み、建て替えや修復が必要になっておりますが、予算は限られおり、なかなか進んでいないという問題が言われております。
そこで、今回のサイエンスZEROでは、まず劣化によってできたコンクリートのヒビがひとりでに直るものが、どういった仕組みで、現状どこまで実用化されているかについてを放送。
この記事は自己治癒コンクリートについてまとめ、紹介します。
<Sponserd Link>
目次
自己治癒コンクリートでめざせ全国のインフラ再建
なぜコンクリートが自己治癒するのか?
ヒビが自然治癒する様子
実際にそのコンクリートにヒビを入れて、ヒビの部分を水で濡らしておくと、ヒビの間に白いものが発生してきて、1ヶ月もすればヒビが塞がります。下記動画にてその様子がみれます。
自己治癒コンクリートの誕生とヒビがひとりでに直る仕組み
そのコンクリートはオランダで開発されました。
国土の4分の1が海面より低いオランダでは土木の研究が盛んにおこなわれています。
自己治癒コンクリートの素材の開発に成功したのはデルフト工科大学のヘンドリック M.ヨンカース博士という方です。
元々彼は海洋微生物学が専門なのですが、大学で2006年から進める自己治癒素材の大規模プロジェクトにより研究を行うことに。
コンクリート中に特殊なバクテリアと栄養分(ポリ乳酸)のカルシウム有機塩を混入することで、コンクリートにひび割れが発生した際にバクテリアの代謝活動によって自動的に修復する技術の開発に成功しましました。
好アルカリ性バラシス属のバクテリアが炭酸カルシウムを作るのです。
コンクリートの中にバクテリアと栄養分の入った粒を混ぜておきます。コンクリート中は酸素もなくバクテリアにとっては極限状態なので、バクテリアは粒の中で休眠しています。
そこにヒビが入り、水と酸素が流れ込んでくると、バクテリアが目覚め、エサを食べはじめます。炭酸カルシウムと炭酸ガスを排出するのです。
排出された炭酸カルシウムがヒビを修復していくのです。
ヒビが埋まると、酸素がなくなるので、バクテリアは休眠に入ります。
バクテリアはこの状態で200年生存が可能なのです。
<Sponserd Link>
日本は曾澤高圧コンクリートで独占販売
独占販売権を取得したのは、北海道むかわ町にある曾澤高圧コンクリート株式会社。
2016年6月にこの技術を利用した製品(Basilisk)の日本での独占販売に関する契約を締結しました。
現在、水路などで使うコンクリート製品に向けて研究・開発を進めています。
曾澤高圧コンクリート、Basilisk HA 自己治癒コンクリートの解説動画をYouTubeでアッしてます。わかりやすいですよ。
<Sponserd Link>
最後に
自己治癒コンクリートが自己治癒したからとコンクリートの強度は回復するというわけではないのですが、コンクリートと鉄筋は全てと言っていいほど対になっていますので、ヒビを治すのは、水と酸素を遮断し鉄筋のサビの進行を抑え続けることが目的となります。
この自己治癒コンクリートは水がないところ、空気中の水分ぐらいでは、バクテリアが休眠から覚めないので、ヒビを治すことはできないそうです。
スタジオに東北大学西脇准教授はコンクリートそのものにヒビを埋めていくポテンシャルがあるので、元々0.1mm以下のヒビを化学繊維を多混入した繊維補強コンクリートを研究中です。
この繊維補強コンクリートは自己治癒を目的とするのではなく、粘り強くするために繊維をたくさん入れているということで、実用化が期待されています。
日本、世界には待ったなしの課題があふれています。
その内のひとつの課題である先進国のインフラ老朽化の問題解決と発展途上国のインフラ整備に利用されることを願いたいと思います。
<Sponserd Link>
コメントを残す