2019年9月6日(金)NHK「チコちゃんに叱られる!」で”なんで炭を置くとニオイが消えるの?”とチコちゃんが星野源さんに質問していました。
星野さんの回答は「えーと、マイナスイオン的なものを炭が出して、そこでニオイの元との血みどろの殴り合いがあり、消臭される」www
で、当然「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と。
その後、もう一人のゲスト、吹石一恵さんが正解を答え、「つまんねーヤツだな」と、チコちゃん。
わたしもなぜ炭が脱臭するするのかは知ってましたが、それ以上の話が紹介されてました。
それ以上とはPCP(多孔性配置高分子)の話があり、PCPの開発によりノーベル賞候補と言われる北川教授の下で研究する樋口雅一助教授が変なメガネをかけて紹介されてました。
チコちゃんが「今年10月9日に発表されるノベール化学賞に期待!」と言って、(多孔性配置高分子)が生鮮食品の防腐、砂漠などで空気からの水分確保など多分野での活用に期待となっていることに触れてましたが、これこそボーっとしてないでもう少しちゃんと調べるべきだと。
まとめましたので紹介します。
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目次
PCPは世界の全産業構造を変えられる存在!
PCPの特徴
ナノサイズの細孔を持ったスポンジのような構造を持っており、非常に大きな表面積を持っています。
穴の径を調整することで、特定のガスの吸着(貯蔵)ができることに加え、ガスの分離、イオンの輸送、原子・分子の配列などに使えます。
PCPの内部構造を工夫することで、微小な反応場を構成し、物質の合成や触媒などを設計できます。
金属元素や構造をうまく選ぶことで、磁性・熱伝導性・誘電特性・光学特性などを付加することもでき、ガス分離膜、電池材料、磁性体、導電体、センサーなど、産業のあらゆる分野での活用が期待できる。
貯蔵機能
PCPの孔のなかに、規則正しく整然と分子をたくさん吸着させ、安定的に貯蔵する機能です。
ガスボンベにガスだけを入れて加圧貯蔵するよりも、PCPを入れて加圧した方がより多くのガスを安全に貯蔵することが可能なのです。
アセチレン(アセチレンはバーナーの燃料として用いられています。)は燃焼速度も速く、2気圧程度で爆発的な反応を起こすため、アセトンなどに溶解させて、さらに無機物の多孔性材料に吸蔵させるなど慎重な扱いが必要な可燃性ガスです。
その爆発性の高いアセチレンをPCPの細孔に直接吸着させることで、安定的な吸蔵でし、安全にガスボンベで貯蔵できることがわかってきており、実用化に向け研究開発が進められています。
分離機能
PCPは数種類の分子が混在する物質から、目的の1種類だけを孔に吸着させることで、その分子のみを混合物から分離させる機能が高い材料です。
活性炭は孔のサイズが均一ではないため、いろいろな分子を同時に吸着させてしまいますが、孔がすべて同じ大きさで、目的の分子だけを吸着できるのです。
化学工業や製鉄のプロセスでN₂やCO₂とともにCOは大量発生されてます。CO事態は原料として有用にもかかわらず、N₂などとの分離にエネルギーを要するため、COを燃焼させてCO₂として排出することが一般的だったのです。
PCPは構造の設計次第で、COと特異的な結合をする細孔を実現することができ、COとN₂などの分離が可能です。
液体窒素などは‐196℃の低温でしか分離できなかったものが北川教授の研究により室温で分離することが可能になってきました。
大規模設備の超低温の深冷分離法だけでなく、圧力吸着法(PSA)や膜分離法などの小規模設備で、省エネルギーでの分離が期待されてます。
触媒機能
ある分子をPCP吸着させて、違う種類の分子に変換する機能です。
PCP/MOFのなかに反応性の高い金属イオンを組み込むと、これが吸着した分子に触媒として作用し、反応を促すことで変換が可能になります。まだ実用化にはいたっていませんが、成功す
れば私たちにとって有害な物質を役に立つ物質に変換できます。地球上で邪魔者扱いされている分子といえば、二酸化炭素。二酸化炭素の増加は、温暖化、異常気象などの環境問題を引き起こす原因です。二酸化炭素をPCP/MOFに吸着させ、メタノールに変換できれば、「気体の錬金術」が可能になるかもしれません。
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海外でのの実用例と創業者が樋口雅一さんの日本唯一のPCP企業”Atomis”
イギリス、MOFテクノロジーズ TruPickTM
2016年9月イギリス、MOFテクノロジーズは世界で初めて実用化に成功しています。
畑から果物を収穫し、私たちの手もとに届くまでにおよそ40パーセントが腐るといわれています。
収穫した果物からエチレンが放出され、それが果物の表面に付着して老化にいたるからです。
TruPickTMは、エチレンの働きを阻害する1-MCP(1-メチルシクロプロペン)をPCP/MOF の中に貯蔵した製品です。水に弱い性質をもったPCP/MOFを用いることで、果物の水分によってこれを壊し、1-MCPを付着させることができます。
その結果、果物の腐敗を抑え、鮮度を保ったまま運搬できるのです。
アメリカ、NuMatテクノロジーズ社 ION-XTM
2016年10月既にアメリカのNuMatテクノロジーズ社はPCPの貯蔵機能を利用したボンベを商業化しています。
ボンベの 中にPCP/MOFを入れると、入れないときの数倍ものガスを低い圧力で貯められます。有毒なガスを高圧で保存するとボンベの外に漏れる可能性があり危険ですが、低圧でガスが保存できるION-XTMを用いると、安全な運搬が可能になるのです。
NuMatテクノロジーズ社は韓国にある半導体工場に、ガスを配送するビジネスを展開しています。
Atomis
製造領域 PCP材料の製造受託
しかし、PCP材料の製造受託は、PCPの実用化にとっては重要な要素であるものの、ビジネスとしてのスケールは小さいため、以下の応用領域での商業化を目指しています。
ライフサイエンス領域 ガス医薬
生体適合性のある材料で構成されたPCP材料の中にガス(COやNO)を閉じ込め、といった気体をPCPで捕捉したまま脳や心臓、肝臓などの臓器に送り届けるのです。
COやNOと聞くと危険なイメージがあるが、それはあくまで口や鼻から吸い込んだ場合の話であり、肺を経由しないで臓器に直接送り届ければ、がんなどさまざまな病気の予防や治療に役立つのです。
エネルギー領域 ガスボンベ
特定のガスを貯蔵するPCPをカーボン製FRP(CFRP)内に充填することで、小型で軽量にすること。
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最後に
ところで、肝心の”なんで炭を置くとニオイが消えるの?”と言う答えは、炭にはたくさんの穴(孔)があり、ニオイを作り出す空気中のほこり、花粉、カビ、細菌などを穴に引っかけることで、ニオイを減らしているということなんです。
炭1gには、全面積を合わせるとおよそ500㎡(およそ体育館くらいの大きさ)になるくらいの穴があるので、消臭力の強さが伺えますね。
ちなみに、このおかしなメガネをかけてるのがAtomisの創始者樋口さんです。特別教授です。「僕の正装なんです」という樋口さんのことを、岡村さんが「勉強しすぎたんちゃうか?」と。番組中2回もおっしゃってましたが、「チコちゃんに叱られる!」に出るから張り切ったクチですね、きっとwww
インパクトある姿とパフォーマンスでしたが、やってることもすごくてインパクトのある方でした。
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