大量生産、自動車部品9割利用でH2Aの費用半分目標の日本の技術結晶H3ロケット。発射まであと少し!

H3ロケット

日本が宇宙への輸送手段を持ち続けられるよう、H-IIAロケットの後継機として開発されている次世代の大型ロケットについて、NHK Eテレ「サイエンスZERO」が2021年4月11日に放送。

H3ロケット

出典:NHK

小島瑠璃子さんが、「(こんなこと)放送していいの?(国家機密ぐらいのレベルじゃ?という感じ)」と言うくらい、H3ロケットのエンジンの仕組みやここに至るまでに起こった障害も詳しく放送されていました。

H3ロケット、今までのH2Aよりどのくらいスゴイ!のでしょうか?

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H3ロケットの成功近し。日本のロケット開発はまだまだ世界各国と競争できる!

H3ロケット開発の直近

2021年3月17日、種子島宇宙センターに30年ぶりに新規開発されている日本最大H3ロケットが姿を現しました。

打ち上げリハーサル

出典:NHK

機体は発射場に移動し、2021年3月18日、1:00AM、初めての打ち上げリハーサルが行なわれたのです。

今回の目的は、機体に初めて燃料を入れ、動作確認になります。

打ち上げリハーサル7秒前

出典:NHK

打ち上げの7秒前までカウントダウンし、エンジン点火の直前で停止させます。

「緊急停止、予定通りかかりました」と、動作に大きなトラブルはなく、全ての検証は大成功でした。

この検証の様子に関しての詳しいことを知りたい方はyahho!記事「H3ロケットが初めて射点へ! 「技術と天気と戦った」極低温点検が完了」にて。

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ロケット開発競争に取り残されないために大型ロケットを開発

日本でおよそ30年ぶりの大型ロケットの新規開発、H3は国際競争を勝ち抜くために開発されました。

大型ロケットの開発競争

出典:NHK

今世界では次々と新型の大型ロケットの開発が行われています。アメリカをはじめロシアやヨーロッパ、中国。

宇宙への大輸送時代

出典:NHK

今後月や火星などにも広がる宇宙への大輸送時代を見据えて、各国工夫を凝らしています。
例えば、アメリカは打ち上げた後、ロケットの一部を地上に戻して再使用型のロケットを開発。

H2Aロケット

出典:NHK

これに対し今の日本の主力はH2Aロケット。打ち上げ成功率98%が売りです。
しかし、今後は大きさやコストの面で見劣りする可能性があるのです。

そこで、H3はコンセプトを全面的に見直しました。

大きくて、量産ができ、シンプルな構造である究極の使い捨てロケットで世界と戦おうとしているのです。

新型メインエンジンLE-9

出典:NHK

これを達成するための切り札が現在開発中の新型メインエンジンLE-9

H2Aメインエンジンとの比較

出典:NHK

H2Aメインエンジンとの比較で部品数は3分の1なのですが、1.4倍のパワーなのです。

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日本独自のエンジン、エキスパンダーブリードサイクルシステム

それを可能にしたのがエキスパンダーブリードサイクルという日本独自のシステム。

一般的にロケットエンジンは水素などの燃料に酸素を加えて燃やし、発生したガスを拭き出すことで推力を得ています。

従来の一般的なロケットエンジン

出典:NHK

燃焼室に送り込む水素と酸素の圧力をあげるためにターボポンプが必要です。

従来のエンジンは副燃焼室で水素と酸素を燃やし、高音になったガスでターボポンプを回します。

従来のエンジンと新型のエンジン

出典:NHK

一方新型エンジンでは、なんとロケットエンジンには欠かせないとされていた副燃焼室をなくしたのです。副燃焼室の代わりとして着目したのが燃焼室です。

液体水素が燃焼室の壁に触れると高温になりガス化。爆発的に体積が増え、その力でターボポンプを回すという発想。構造をシンプルにしたのです。

しかし、その分、従来のエンジンよりパワーを出すのが難しくなったという課題をどのようにしてクリアしたのでしょうか?

服燃焼室で生み出したガスそのものはおよそ400℃以上。高温になったエネルギーでターボポンプを回して、非常に大きい推力となっています。

しかし、新型のエキスパンダーブリードサイクルは副燃焼室をなくしたまま燃焼室を通る液体水素が、燃焼室から熱を吸収してガス化してターボポンプを回すので、いかにして燃焼室で水素がたくさんの熱を吸収できるかが肝なのです。

燃焼室のサイズを大きくすることで水素が熱を大きく吸収

出典:NHK

実際は新型のエンジンでは燃焼室のサイズを大きくしたのです。表面積を大きくすることで、水素が熱をもらえる、触れるところが大きくなるのです。
燃焼室のサイズを大きくすると、その分表面積が増えるので、通る間に水素がたくさん熱を吸収して、十分高いエネルギーのままターボポンプを回せるようになるのです。

さらにこのエンジンはこれまで日本のロケットのエンジンとして使われてきたものなのです。

メインエンジンではなく2段目のエンジンで使われてきたものだったです。

エキスパンダーブリードサイクルのメリット

出典:NHK

メインエンジンと比べると必要なパワーがメインエンジンの10分の1ほどですので、構造がシンプルなので、トラブルが起きにくいし、部品点数が減るんで製造費が抑えられるというメリットがあるのです。

エンジン開発自体は20年前から研究がはじまりました。その結果今までの2段エンジンに比べてサイズは2倍、推力は10倍になったのです。

それだけでなく、液体水素は燃焼室が高温になりすぎて壊れないよう冷却する役割も果たしているのです。

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打ち上げ1年切った2020年5月に試練の不具合

どんな不具合だったのか?

2020年5月、打ち上げまで1年を切ったタイミング、

LE-9の39回目の燃焼試験

出典:NHK

LE-9、39回目の燃焼試験でターボポンプのタービン付近から金属の粉が出ていたのです。

タービンのひびが入っていました。さらに燃焼室に内壁に最大で1cmほど割れ目が14か所みつかりました。

燃焼室内壁の開口

出典:NHK

その後3か月間、開発メンバーは総力をあげ、原因の究明に努めました。

想定外の強い揺れでひびが

出典:NHK

タービンはターボポンプを効率よくまわすために羽根を大きくしていました。そこに想定外の強い揺れが起き、ひびが出来ていたのです。

燃焼室の割れ目

出典:NHK

燃焼室の割れ目はどこかのタイミングで内壁の温度が想定より高くなっていたためにできた可能性がでてきました。

燃焼室の一番高温の場所に割れ目

出典:NHK

割れ目の場所は冷却用の液体水素が流れる場所でも最も温度が高くなる部分でした。

パワーをだすために改良を重ねた結果起きた不具合。
計画を見直し打ち上げ目標を2021年度内にすることに。

不具合の原因は?そして、どう対処したのか?

2020年12月、トラブル発覚以来、初めての燃焼試験では燃焼室の割れ目がどのタイミングできたのかを調べました。

燃焼室に特に負荷がかかるタイミングは①エンジンを起動した時、②フルパワーの時、③停止する時のどこが問題だったかを検証。

燃焼時間は225秒で、予定を無事にやり遂げました。

その後も条件を変えながら試験を繰り返し、ようやく原因が見えてきました。

割れ目ができたのはフルパワー燃焼時

出典:NHK

割れ目ができたのはフルパワー燃焼時、高音によって金属にわずかな変形が生じ、底から割れ目が広がる現象が起きていました。

原因は特定されることで、金属がどの温度まで使えるのかということもだいたい見えてきました。

ですので、限界点の下で使えるように冷却を少し増やしたり、燃焼室の温度を少し変えたりということで対処できるということになりました。

タービンの疲労

出典:NHK

また、タービンの強い揺れの問題に関しては、タービンの羽根1枚1枚の形を変えたり、枚数を変えたりの設計変更を繰り返しながら対処しています。

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宇宙競争生き残りの可能性を広げたH3ロケット開発

宇宙輸送の自立性の確保と日本のお家芸

そもそも、(今回のH3ロケットのような国産ロケット開発がなければ、)日本の宇宙への輸送手段が10年後にはなくなるんじゃないか危機感がありました。

H3ロケットのような国産ロケットの開発に踏み込むことによって、ほかの国に頼らず自らの力で宇宙に物や人を輸送する自立性の確保ができ、危機感を払拭することができるということなのです。

宇宙空間においての安全保障のために、自国でアクセスできる手段を持っておくべきことも重要になってますので。

H3ロケット開発は日本的なもの

出典:NHK

そのH3ロケット開発は日本らしい、一味違うものになっています。

ラインを作って大量生産に備える。

電子部品の90%は自動車部品を使うなどといった日本ならではの開発なのです。

ロケット開発継続にて技術力を落とさないことが

2021年1月30日、H3ロケット初号機が種子島に到着しました。

機体の組み立てがはじまります。

H3ロケットの開発では、技術者の育成ももう一つの重要な点です。

機体や設備の担当のほか、三菱重工業の組み立てチームなど総勢300人が参加しています。
多くは前回のロケット開発などの経験がない若いエンジニアです。

30年ぶりの新規開発、しかも初めての機体の組み立てですので、想定外の事態も起きます。
現場での細かい調整が不可欠なのです。

作業の一つ一つがやってみないとわからないことの積み重ねなのです。

今回、当初リスクだったり難度が高いと考えられている作業は無事クリアしているのですが、事前の想定から漏れていたところから不具合が次々と起きるので、都度エンジニアが集まって、対応策を協議して対策を導き出していました。

ミリ単位あるいはそれ以下の精度で組み立てていくものを、最終的には人の感覚で組み付けていったところに職人技を感じるものがありました。

この経験を次の世代につなげていくことが大事なことなのです。

想定外の事態などこの一連については下の動画でご覧ください。

 

30年前、H3ロケット開発がはじまる前に、本当に日本は国産のロケットを開発する意味があるのかという議論が行われました。今止めてしまうのは簡単だが、そうすると技術開発でロケットに携わっている研究者は出ていきます。そうすると、次に開発をはじめようとしてもすぐには人が集まらないということになります。

今までの経験を活かして得意とした技術を伝承していくという意味でもこのプロジェクトは意義があるのです。

経験者の裾野が広がっていくことが非常に重要な基盤となっていくのです。

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最後に

今、宇宙の開発利用は劇的に伸びると言われています。

また、世界の携帯電話やカーナビもそうですが、今宇宙空間を使って私たちの生活が維持されています。
そして、宇宙から地球を観測していくことで、防災につながったり、事前災害の被害をどのように解決していくのか期待されています。

その宇宙に日本が輸送手段を持っているかどうか大きな意味があるのです。

宇宙開発は人類が宇宙圏に生活圏として活動を伸ばしていく上で必ず必要になる科学と信じて開発は今後も進めるべきものと思います。

そうすると、宇宙ゴミが多く発生するので、回収することも視野に入れておかなければなりません。

宇宙ゴミの回収

出典:NHK

以前、スペースデブリ回収に動いている日本の企業について記事にしています。「世界初かっ?!宇宙ゴミ(スペースデブリ)を回収する人工衛星実現を墨田区の下町企業が2020年に」ですが、ご興味がございましたらご一読ください。

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ABOUTこの記事をかいた人

1970年長崎県五島生まれ 現在、家族は妻、息子の2人 品川区在住、品川区勤務 好きな作家:池井戸潤、伊坂幸太郎、真山仁 好きなドラマ:救命病棟24時、医龍 好きな映画:グローリー 好きな女優:石田ゆり子、イングリッド・バーグマン 好きなスニーカーメーカー:PATRICK